北朝鮮にまで「足元を見られた」トランプのアメリカ
また北朝鮮も、トランプ陣営から中国政府を通じて核・ミサイル開発の自重を求められ、「レッド・ライン」を警告されていましたが、それでも日本時間の14日朝、中距離ミサイルを発射し、高度2100キロメーターまで打ち上げて「成功」したと吹聴しています。
これに関しては、米国のネオコンがまだ軍事リスクを煽りたい側面もあるかもしれませんが、北朝鮮は米国でトランプ大統領とマクマスター大統領補佐官との関係が悪化しているのを承知で、米国の出方を試したとの見方もあります。
裏を返せば、北朝鮮は「今のトランプ政権では何も手は打てない」と読んだ節があり、実際、トランプ政権からのリアクションはありませんでした。
経済指標にも鈍化の兆し
さらに、米国企業や消費者のマインドも冷えてきました。
先日、ニューヨーク州の製造業指数が発表されましたが、2月にはトランプ政策への期待からこの指数は18.7まで高まっていたのですが、4月には7.0に低下し、そして今回の5月分はなんとマイナス1.0まで低下、すっかり期待が剥げ落ちた形になりました。
消費マインドはまだ良好ですが、ミシガン大学の消費者センチメントは、昨年12月、今年1月に大きく高まった後は、頭打ちからやや低下気味となっています。また、マインドが良好な割に、実際の個人消費はこのところ元気がなくなりました。
2つの巨大リスクを抱えた市場
さて、ここからの市場リスクですが、2つの問題を考えなければならなくなりました。
1つは、ロシア疑惑が高まる中で、議会がその問題を抱えたままでは政策論議がなかなか進められなくなる可能性があり、減税を含む税制改革やインフラ投資の計画策定が遅れるリスクが高まるということです。これは金利やドル、株価にはネガティブです。
株式市場では、それでもエネルギー価格の反発やサイバー・リスクの高まりを逆手にとって、サイバー関連銘柄とエネルギー関連が相場を押し上げていますが、PERが高まり、恐怖指数(VIX指数)が異常に低下しているだけに、何らかのショックで大きな調整が入るリスクがあります。