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何か変だぞ? いま話題の「配当貴族インデックス投資」に潜む罠=東条雅彦

バフェットもあえてS&P500にハンデを与えた上で競争している

ウォーレン・バフェットは毎年、自身の経営するバークシャー・ハサウェイとS&P500(配当込み)の成績を競っています。その結果を株主宛ての書簡(通称、「バフェットからの手紙」)の1ページ目に掲載しています。

<バフェットからの手紙(出典:バークシャー・ハサウェイ公式HP)>

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S&P500(配当込み)のリターンは、「政府から配当金に対して課税されない」という条件で計算しています。しかし、米国政府にしろ日本政府にしろ、実際には配当金に対して課税します。

そのため、正直ベース(配当金に課税する前提)で計算すると、上記の結果よりもさらにバークシャー・ハサウェイはS&P500(配当込み)に圧勝していることになるのです。しかし、なぜかこの点について指摘する人はほとんどいません。

まとめ

本稿の内容をまとめると、次の6点に集約されます。

<1>

キャピタルゲインもインカムゲインも本質的に同じ利益なので、どちらも平等に大切にすべきである。

<2>

インカムゲイン(配当金)は支給される度に(基本は年4回)20%課税される。一方、キャピタルゲインは投資家の判断で株式を売った時にしか課税されない。そのため、キャピタルゲインについては、投資家の意志によって半永久的に課税をスキップできる。

<3>

高配当戦略は運用コストや銘柄入れ替えコストがかかって、実際にこの戦略を採用すると、S&P500よりもリターンが下がってしまうことが多い。

<4>

高配当戦略を採用したETFはまだ歴史が浅く、この戦略が完全に有利だというエビデンスは存在していない

<5>

高配当戦略はキャピタルゲインよりもインカムゲインを重視するので、その分、政府からの課税が重くのしかかり、累積リターンが大きく押し下げられる(長期になればなるほど、税金のオーバーヘッドが大きくなっていく)。

<6>

証券会社からの目論見書、シーゲル博士の研究結果、バークシャーの株主宛ての書簡など、私たちが目にする大半の資料にはインカムゲインへの課税が考慮されていない(それを元に投資判断をすると、ミスリードにつながってしまう)。

インカムゲインをどんどん再投資して資産を雪ダルマ式に増やしていきたいと考えている人にとっては、高配当戦略は税金のオーバーヘッドが大きく、非効率だと言えます。

過去のデータをバックテストすると、配当を出さないバークシャーは一般的なインデックス投資よりも優位な立場に立っていることが確かです。

<2006年から2016年の10年で資産が何倍に増えたのか?>

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ウォーレン・バフェットに学ぶ!1分でわかる株式投資~雪ダルマ式に資産が増える52の教え~』(2017年5月21日号)より一部抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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