当マガジンは日経平均の妥当な水準として統計的処理で求めた理論株価をもとに、足元の相場の位置づけを評価する材料を提供するものです。原則として日経平均と理論株価の位置関係を示すグラフと表に若干のコメントを合せて毎週1回配信いたします。皆様のより良い投資成果のための一助にして頂ければ幸いです。
※「理論株価」についてはこちらをご覧ください。(『投資の視点』日暮昭)
プロフィール:日暮昭(ひぐらしあきら)
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を用いた客観的な投資判断のための市場・銘柄分析を得意とする。
市場リスク高止まり、日経平均株価はファンダメンタルズの範囲内
「理論株価で測る相場の位置づけ」今週のコメント
下図は2017年初めから5月26日までの日経平均、理論株価、通常変動の上側と日経平均ベースの予想EPS、米ドルレートの推移を示したグラフです。
日経平均、理論株価、通常変動の上側と米ドルレート、予想EPSの推移
2017.1.4~2017.5.26
紺色の線が日経平均、青線が理論株価、赤線が通常変動の上側を左目盛で示します。そして、緑色の線が予想EPS、紫色の線が米ドルレートで右目盛りで示します。各指標の後の値は5月26日の値を示します。
年初からのファンダメンタルズの動きを見ると、為替市場はやや円高傾向ながら足元、米ドルは111円台でほぼ安定しており、業績面では今期予想が163円台と過去最高を更新し前年比で約20%の増益となっています。
結果、米ドルと予想EPSが「ワニの口」になり日経平均と理論株価、通常変動の上側がこのワニの口の中に収まる、すなわち株式相場はファンダメンタルズで説明される範囲にある事を示しています。
市場リスク(前回、当講座でご紹介した「資本コスト」)は、北朝鮮のミサイル連続発射、米大統領の“ロシアゲート”問題の先行き、またG7で浮き彫りになった米国と他のメンバー国との貿易スタンスの違いなど不穏な要因はそろっていますが、当面ファンダメンタルズに支えられる形で株式相場はそれなりに安定した状態が続くものと思われれます。
ちなみに、26日の市場リスクは7.12%で前週からほぼ同水準で推移しています。これは昨年11月のトランプ・ショック時の水準と同レベルで、通常のリスクの変動範囲を若干ながら上回っています。
経験則から見ればいずれリスクは過去の平均である標準リスクに向かう可能性があり、その場合はファンダメンタルズを素直に反映することで、日経平均は理論株価の1万9,800円がメドとなります。
さらにリスクが年初から3月までに示したように標準レベルから平均変動の下側にまで下がれば通常変動の上側である2万900円程度がメドとなりそうです。
『投資の視点』(2017年5月30日号)より一部抜粋
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