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「忖度相場」からの6月14日ショック説、最悪ケースの株価下値は?=藤井まり子

「ヒンデンブルグ・オーメン」が点灯

ヒンデンブルグ・オーメン(Hindenburg Omen)」とは、テクニカル分析において「株価の調整あるいは暴落の前兆」とされるサインのことです

その名は、1937年のドイツ飛行船ヒンデンブルク号爆発事故に由来します。「オーメン」は、「悪いことが起こる前兆」という意味で、盲目の物理数学者ジム・ミーカが考案したテクニカル分析指標です。

この「ヒンデンブルグ・オーメン」は、下記の「4つの条件」が同じ日に起こった時に点灯します。そして、一度点灯すると、向こう30営業日(およそ42日間)は有効とされています。
※ただし、マクラレンオシレーターという指標がマイナスからプラスに転じた場合は無効となります

以下がその4つの条件です。

1. ニューヨーク証券取引所(NYSE)での52週高値更新銘柄と52週安値更新銘柄の数が、共にその日の値上がり・値下がり銘柄合計数の2.8%以上になる。

2. NYSEインデックスの値が50営業日前を上回っている。

3. 短期的な騰勢を示すマクラレンオシレーターの値がマイナスになる。

4. 52週高値更新銘柄数が、52週安値更新銘柄数の2倍を超えない。

「史上最高値更新」の危うい中身

今のNY株式市場は、ごく一部の銘柄が連日高値を更新して、大相場を牽引しています。その筆頭が、フェイスブック、アマゾン、アップル、ネットフリックス、アルファベット(グーグル)など、「FAANG」と呼ばれる銘柄群です。

現在の相場は、これら一部のFAANG銘柄だけで牽引されていると言っても過言ではありません。ハイテク企業が主役となっての、ロボット、人工知能、IoT等々ハイテクブームが進行中なのです。そのほか、半導体・半導体製造装置関連も堅調です。

一頃の「トランプラリー」は明らかに終了し、それに取って代わって「大型のハイテクブーム」が始まっており、相場の主役、相場の牽引役がものすごい勢いで入れ替わっています。

ですから実は、「主役の座」から引きずり下ろされた銘柄群は下落しています。トランポノミクスへの期待が露と消えた今となっては、金融・エネルギー関連などの、かつての「トランプ銘柄」は連日軟調です。自動車販売数が頭打ちになっているので、自動車株も冴えません。

つまり現在のアメリカ株式市場は、ごく一部の銘柄が連日史上最高値を更新するいっぽうで、じっくり調べてみると、株価が下がっている銘柄も実に多いのが実情なのです。

NYダウ1万8,000ドル水準は想定内

さて、「ヒンデンブルグ・オーメン」が点灯すると、以下のようなことが発生すると指摘されています。とても不気味ですね。

  • 77%(80%との意見も)の確率で株価が5%以上下落
  • パニック売りとなる可能性は41%
  • 重大なクラッシュとなる可能性は24%

かつて2015年6月中旬にも、この「ヒンデンブルグ・オーメン」が点灯しました。このときのアメリカ株式市場は暴落しています。

忘れもしない2015年8月の中国株大暴落を受けて、NYダウは1万8000ドル台から1万5000ドル台まで、およそ2,000ドル強の大幅下落を演じました。6月から8月にかけて、およそ2カ月で15%の下落となりました。

15%の大幅調整に慣れていなかった当時の株式市場は、これを「暴落」と感じたものです。

仮にこのときの下落率を当てはめて、NYダウが今夏にかけて15%の大幅調整をすると考えると、およそ1万8,000ドル前後まで下落するかもしれない、という見方ができます。

Next: 「先行」する為替と金利を株式市場が後追いすればどうなる?

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