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日本経済に「無茶で危険なダイエット」を勧めるPB黒字教徒の狂気=三橋貴明

記事提供:『三橋貴明の「新」経世済民新聞』2017年6月14日号より
※本記事のタイトル・リード・本文見出し・太字はMONEY VOICE編集部によるものです

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緊縮財政主義という怪しい宗教。誤った健全化が日本を亡国に導く

日経新聞は「プライマリーバランス黒字教」の狂信者か

骨太の方針2017」に関する日本経済新聞の社説を読み、分かりました。

緊縮財政主義、あるいはプライマリーバランス黒字化主義者の振る舞いは、新興宗教です。護憲派が「憲法九条教」に陥っているのと同様に、彼らはPB黒字教の教徒と化しているのです。

しつこいほど繰り返していますが、そもそも財政健全化の定義は、PB黒字化ではありません。政府の負債対GDP比率の引き下げです。それにも関わらず、この社説(「社説」なので、日本経済新聞「社」としてのオピニオンになります)。

政府が経済財政運営の基本方針(骨太の方針)を閣議決定した。財政健全化の目標として、2020年度の国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の黒字化に加え、国内総生産(GDP)に対する公債残高の比率引き下げも明記した。新目標が財政健全化の先送りにつながるようなことはあってはならない。

PBの黒字化は、その年度の政策的経費を、借金に頼らずにその年度の税収などの収入でまかなえるようにする目標だ。PBが黒字になっても、過去に発行した国債などの借金返済が残るので、PB目標は財政再建の一里塚にすぎない。その後は1000兆円を超す国・地方の借金を減らし累積赤字を縮小させる必要がある。(後略)

出典:安倍政権は財政健全化から逃げるな – 日本経済新聞(2017年6月11日配信)

前半部分だけで、突っ込みどころ満載なのですが、そもそも財政健全化とは「国内総生産(GDP)に対する公債残高の比率引き下げ(政府の負債対GDP比率の引き下げ)」なのです。

それにも関わらず、財政健全化=政府の負債対GDP比率引き下げを「新目標」に入れたことを受け、「新目標が財政健全化の先送りにつながるようなことはあってはならない」と書く。

さらに、「過去に発行した国債などの借金返済」などと、財政健全化とは関係がない話を平気でつなげる。そもそも、政府の負債は増え続けるものであり、増え続けてきたという「現実」も無視する。

政府債務は増え続けるもの、縮小の必要なし

島倉原氏が作成してくれた、1872年から2015年までの政府債務の推移を掲載します。

1872年ー2015年 政府債務の金額及び実質残高(2015年基準)の推移(単位:億円)

出典:三橋貴明公式ブログ『新世紀のビッグブラザーへ』

出典:三橋貴明公式ブログ『新世紀のビッグブラザーへ

図の通り、日本政府の債務の名目値は1872年から2015年にかけ、3740万倍に増えています。物価の上昇分を控除した実質では、546倍です。過去に(名目値で)3740万倍に増え、一度も債務不履行を起こしていない政府の負債を、なぜ「縮小」させなければならないのでしょうか。

Next: 目標達成の一手段でしかない「PB黒字化」にこだわるのはおかしい

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