親切の「有料化」も一案だが…
では、こうした問題にどう対処すべきなのか。
中島氏は、過剰サービス部分はこれまで「無償での『親切』」と見なされてきたが、経済成長の鈍化により、そうした考え方を根本的に見直す時期に来ているとして、海外での接客サービスへのチップ支払いのように「親切」を有料化するか、人工知能(AI)などを用いて「親切」を機械化することが解決の処方箋と述べています。
しかしながら、氏自身も述べているように、そうした「親切」は、本来あからさまにカネでやり取りするのはふさわしくないもの。また、機械化で人間味が失われれば、サービスの低下につながる場合もあるでしょう。
「日本経済の成長鈍化」という根本原因にメスを
そもそも、過剰サービスをもたらしたのは日本経済の成長鈍化という話でした。そして、1990年代半ば以降に実質GDPの伸びが鈍化したのは、政府の緊縮財政によって名目GDP、ひいては企業利益や家計所得が頭打ちとなり、消費や投資の意欲が低下したから。とすれば、積極財政で経済成長を取り戻すことこそが、真の処方箋ではないでしょうか。
『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』
↓アベノミクスを支えるリフレ派や主流派経済学の誤りを実証し、積極財政こそが経済再建の柱であることを解き明かした一冊です。https://t.co/lvuOFPZ1b8 pic.twitter.com/dhhgUxme8C— 島倉 原 (@sima9ra) 2016年4月10日
宅配便については以前、「宅配便値上げをもたらしたデフレ経済の限界」というタイトルで、緊縮財政がもたらした実質賃金の低下、というマクロの観点から論じたことがありますが、今回のようにミクロの論点から出発しても、やはり積極財政こそが採るべき政策なのです。
『三橋貴明の「新」経世済民新聞』2017年6月15日号より
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