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FOMC通過で見えた投機筋のポジション~ビットコインとドル円、日本株の行方=E氏

投機筋のポジションを読む

ここで、年初からの投機筋のポジションを思い出してください。

先ほど書いたように、年初から投機筋はゴールドを積み増し、ユーロのショートカバーを進めドテンロングに転じ、円のショートカバーを進めていました。

そして、昨年秋以降積極的なロングポジションだった原油は供給過剰懸念が報道される中でもロングを維持し続けていましたが、この数ヶ月ほどでロングの解消を始めています。

と、ここまで書くと、先週のFOMCをきっかけにした一見不可解な動きの原因がなんとなくわかるでしょう。結局、先週のFOMC以降の動きは、投機筋が年初からロングだったアセットを解消し、ショートスクイズを行ったことによる可能性が高いのです。

先ほども書いたように、今、投機筋がポジションを解消している理由は不明です。解約が殺到しているのかもしれないし、半年から6ヶ月の投資期間なので入れ替え期に来ただけかもしれませんが、年初からのロング資産を削り始めているのは事実です。

いけいけのリスクオン銘柄であるFANGやビットコインと、代表的なリスクオフ資産であるゴールドや円が同じ動きをしたのは、こういった需給要因でしか説明できません。

つまり、依然としてマーケットは特定投資家の過剰ポジションの解消や生成で右往左往しているだけで、イベントをきっかけにポジション変化が起きているので、何か関連があるように見えても、実際は金融政策に対して合理的な判断の上の行動ではないことが多くなっているのです。

過剰なポジションは解消される運命

では、こういった動きがどこまで続くかですが、当事者でない以上、正確に判りませんし、投機筋といっても様々なスタイルの多くのファンドからなる集合体なので、この当事者でも全体の動きはわかりにくいでしょうが、少なくともいえることは、トランプショック以降のリスクオン相場で、連中が取った過剰ポジションは、米国債やドルインデックスなどに関しては全て解消され、トランプショック前の水準に指数が戻っているということです。

なので、一旦始まったアクションを途中で止めるよりは、解消するまで続くと見たほうが良いでしょう。

とすると、今後米国株は相場の牽引役だったFANGが崩れることでセンチメントが悪化しやすいでしょうし、安全資産であるゴールドも下げ易いでしょう。

一方の円ですが、円に関しては売りの持続性はそれほどないと思っています。それは、年初からショートカバーを進めたと言っても、投機筋は依然としてピークの半分程度のショートを持っているからです。

今は年初からの買い資産に関してポジション解消を行っていますが、円がショート建玉残高である以上、どこかでショートカバーに転じる可能性が高いです。

本来、ドルの下落の反対勘定として、円もユーロ同様に早々にカバーされて然るべきだったのに、そうならずに逆に4月下旬以降ショートが積み増された理由は、ユーロ買いに焦点が当たりすぎたため、下げ余地が乏しいドルより年初からの上昇の目立つ円を反対勘定にされたことも大きいでしょうし、円固有の買い材料が特段見当たらなかったということも大きいです。

もちろん、もしマーケットがファンダメンタルズや金融政策、そして政治の安定性といった、従来マーケットが気にしているファクターで動くのだったら、日本円には(北朝鮮問題、円安誘導していた安倍政権の支持率低下といった)買い材料が多いはずですが、今はファンダメンタルズで動く相場でないため、特定投資家による過剰ポジションの生成・解消といった需給要因が優先されてしまうのです。

しかし、先ほど書いたように、投機筋の円ポジションが既にショートである以上、ポジション解消をするのならば円は買われるので、日米欧通貨の中では今後は円が最も潜在的に上昇圧力が高いと言えますので、円下落に過剰に引きずられ、且つ、NASDAQにも牽引されてきた日本株は、両指数の逆転というダブルパンチに苦しむ時期がそう遠くない将来にやってくるでしょう。

このように、先週のFOMC前後の動きはファンダメンタルズでは説明不可能ですし、FRBの金融政策の方向性をいくら咀嚼しても理解は不可能です。残念ながら、今は過剰なポジションを取る投資家が池の中の鯨のように暴れまわっている以上、ファンダメンタルズとは乖離した動きになっている点に気をつける必要があります。

そして、何より注意すべきことは、先週の円安とそれを好感した日本株高は、本来マクロ面でのサポートがなく、投機筋のポジション解消が始まれば消失するような儚いものだということです。

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2017年6月18日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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