AmazonのPERと「Price/Cash Flow」
成長期にいる企業の株価が割安か割高を判断するには、「Price/Cash Flow」という指標が役立ちます。この指標は「株価÷1株当たり営業CF」で求められます。成熟期以降の場合はPER(=Price/Earnings)が使えます。
AmazonのPERと「Price/Cash Flow」の推移を、モーニングスターのサイトで確認できます。
<補足情報>
下記のURLはブラウザのお気に入りに入れておくことをオススメします。
http://financials.morningstar.com/valuation/price-ratio.html?t=AMZN
AmazonのPERは、2017年6月12日時点で181倍に達しています。
PERだけを見たら、腰が抜ける程の割高になっていて、本当にビックリします。しかし、「Price/Cash Flow」の値を見ると、27.9倍です。この27.9倍という値は、10年前の2007年12月末と同じ値になっています。過去のデータから比べても決して割高ではなく、ごくごく標準的な値になっています。
公式「(Price/Cash Flow)÷予想成長率」で割安・割高が判明
割安か割高の判断は、PEGレシオという概念を通じて行うべきです。厳密に言えば、世の中には「Price/Cash Flowレシオ」という用語は存在しないのですが、「予想成長率」を加味することで割安か割高かの判定を正しく下せるようになるのです。「レシオ」という言葉は比率という意味です。
イメージとしては「シーソー」を思い浮かべてください。「Price/Cash Flow(30倍)」という重りをシーソーの左側に乗せます。
<「Price/Cash Flow(30倍)」という重りをシーソーの左側に乗せる>
残念ながら、これだけでは割安か割高かは判定できません。
右側に「予想成長率」という重りを乗せて、初めて「割安か?割高か?」の判定がつくようになります。
<「予想成長率」をシーソーの右側に乗せる>
<参考:PEGレシオの一般的な基準>
- 1未満=割安
- 1~2=適正価格
- 2超過=割高
「Price/Cash Flow」が30倍であっても、予想成長率が30%というかなり高い値であれば、十分にバランスが取れて、「適正価格」だと見なされます。
もし予想成長率が5%という低い値だったら、シーソーが左に傾いて、「割高」になります。
<予想成長率が低い場合は「割高」になる>
もし予想成長率が50%という高い値だったら、シーソーが右に傾いて、「割安」になります。
<予想成長率が低い場合は「割安」になる>
(現実的には予想成長率50%という高い値を維持できる企業はほとんどありません。)
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