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安倍内閣の支持率と官製相場を急落させる「逆賄賂」発覚リスク=吉田繁治

内閣支持率低下で終焉に向かうアベノミクス

安倍政権の支持率低下は、異次元緩和推進のリスクにもなっています。アベノミクスの中核の政策だった「異次元緩和」に、まだ微妙ですが変化が見え始めました。

日銀信用(バランスシートの資産・負債金額)は、17年6月で504兆円に膨らみ、資産における国債保有は430兆円、負債における日銀当座預金は350兆円に達しています。このままなら1年後に584兆円、2年後には664兆円になります。

目的だった消費者物価指数の上昇は17年4月では0.4%にとどまり(総合)、政府がメドとしていた生鮮食品とエネルギーを除くコアコア指数では、前年比で0%です。消費税の増税(3%)で2%分、円安で1%分上がりましたが、それを除くとほぼ0%台です。デフレこそ脱した感じですが、インフレではない。

まるで「無意味」な異次元緩和

日銀は、16年9月の金融政策決定会合で、10年債の金利を0%付近に誘導するとし、80兆円という国債買い入れ枠をあいまいに消しています。10年債の金利は現在0.055%で、ほぼ0%です(過去の1%の10年債は、残存期間が6年なら、約5%流通価格が上がっています)。

日銀の国債買いのペースは、年間80兆円から60兆円幅へと微妙に減っています。銀行が金利がついていた国債を日銀に売り、マイナス0.1%金利の日銀当座預金になると、赤字になるからです。

銀行団の総資金利回りが赤字にならないためには、総資金利回りでは最低でも1.0%、利益を出すには1.3%が必要です。日銀の信用創造は、前号メルマガで述べたように、銀行が赤字にならない範囲という上限を持ちますが、その上限まで残り少なくなっています(160兆円はないと思えます)。

わが国の銀行団は、日銀に国債を売ったお金で、国内の貸し出しを増やすことはしていません。1%の貸し倒れを見ると業務利益が赤字になるからです。かわりに、為替差損を顧みず、2.1%の利回りがある米国10年債やドル証券を増やしています。

このため日銀が増発した円は、1年間で平均20兆円も米国とユーロ圏に流出しているのです。国内のマネーサプライは十分に伸びていません。

しかしそもそも異次元緩和の目的は、マネーサプライ(≒世帯と企業の預金)を6%以上(80兆円)増やすことで、需要主導型のインフレを定着させることでした。

Next: 安倍首相と黒田日銀総裁はなぜ政策を誤ったのか?致命的「勘違い」

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