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世界が困惑「カタール国交断絶」を招いたトランプ大統領の余計な行動=大前研一

サウジアラビアを中心に中東諸国が次々とカタールとの国交断絶を発表。これは米国トランプ大統領が余計なことをしたから起きたことで、日本にも影響が及びます。(『グローバルマネー・ジャーナル』大前研一)

※本記事は、最新の金融情報・データを大前研一氏をはじめとするプロフェッショナル講師陣の解説とともにお届けする無料メルマガ『グローバルマネー・ジャーナル』2017年6月21日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に定期購読をどうぞ。
※6月18日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。

プロフィール:大前研一(おおまえ けんいち)
ビジネス・ブレークスルー大学学長。マサチューセツ工科大学(MIT)大学院原子力工学科で博士号を取得。日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年に経営コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社後、本社ディレクター、日本支社長、常務会メンバー、アジア太平洋地区会長を歴任し、1994年に退社。スタンフォード大学院ビジネススクール客員教授(1997~98)。UCLA総長教授(1997~)。現在、ボンド大学客員教授、(株)ビジネス・ブレークスルー代表取締役。

カタールとの結びつきが極めて強い日本にも大迷惑、危機の背景

余計なことをしたトランプ

サウジアラビアバーレーンアラブ首長国連邦エジプトの中東4カ国は5日、ペルシャ湾岸のカタールと国交を断絶するとの声明を発表しました。カタールがムスリム同胞団などのテロ組織を支援したことが理由とし、カタールとの商船、航空機等の往来停止外交団の引き上げを実施するとしています。

これは、実はアメリカ・トランプ大統領が余計なことをしたから起きたことです。トランプ大統領がサウジアラビアに行き、サウジアラビアに全面的に入れあげてイランとのとんでもない軋轢を生むようなことをしてしまったのです。そして、両者の間で何とかやっていこうとしていたカタールがおかしなことになってしまったという話なのです。

もともとイスラム同胞団というものについては、サウジアラビアもかなり肩入れしていたわけで、ISそのものもサウジアラビアが裏で手を回して育てたという面があります。その点ではオサマ・ビンラディンもサウジ出身です。

サウジの割を食うカタール

このようにサウジアラビアに問題があるにもかかわらず、トランプ大統領があそこまで入れあげてしまったので、何とか両者の間でやっていこうとしていたカタールのようなところが、ムスリム同胞団のようなテロ組織の温床を援助していたのではないかと言われてしまっているのです。実際それを一番やっていたのは、サウジアラビアなのです。ですから、カタールはちょっと割を食っているというわけなのです。

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カタールという国は、実はイランに近いのです。そこで天然ガスを大量に採掘しているわけですが、そのガスの交渉はイランとつながっているのです。ですからイランと徹底的に喧嘩をしてしまうと非常に具合が悪いのです。スンニ派なので本来はサウジ側なのですが、イランとも中立関係を保とうとしているのがカタールなのです。

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