プーチンは「イーサリアム」をどう利用するつもりなのか?
プーチンは、今回のサンクトペテルブルク国際経済フォーラムで、このようなスピーチを行っています。
「デジタル経済は、現行の産業から分離されたものではない。それは、基本的には新しいビジネスモデルを創造するための基盤になりうる」
20年間の長いトンネルを抜けてロシアが最悪の景気後退を終えた今、プーチンがもっとも力を入れているのが、長期的な経済成長を後押しする手段をプロモートすることです。
ロシア連邦中央銀行は、去年の10月、ロシア最大の商業銀行であるズベルバンク・ロシア(正式名称:「ロシア連邦貯蓄銀行」)を含む貸し手とオンライン決済を処理し、顧客データを検証するパイロット計画として、すでにイーサリアム・ベースのブロックチェーン「マスター・チェーン(Masterchain)」のプロトタイプが実証試験の段階に入っていることを公表しています。
事実、ロシア連邦中央銀行の副総裁であるオルガ・スコロボガトフ(Olga Skorobogatova)も、「ロシアの国益に資する国家暗号通貨の発展のために、イーサリアムのプラットフォーム技術を使う」ことを除外していません。
ブロックチェーン技術の活用に意欲
先週、ロシア国営開発銀行(VEB)は、いくつかの管理機能のためにイーサリアムの使用を開始することに合意しました。
ロシアの鉄鋼大手セヴェルスターリ(Severstal)は、国際信用状(支払い確約書)を安全・確実に転送するために、イーサリアムを使ったテストを行いました。
イーサリアム・ブロックチェーンをバックアップしているイーサリアム財団のアドバイザー、ブラッド・マルチノフ(Vlad Martynov)は、このように言っています。
「かつて、ドット・コム・バブルと言われた時代には、インターネットの普及とともにさまざまなネット企業が雨後のタケノコのように林立した。ブロックチェーンは、あのときと同じような影響を及ぼすだろう。
ブロックチェーンを使った取引においては、さまざな仲介業者や代行業者が不要になるため、これまでのビジネス・モデルを激変させてしまう。
もしロシアが最初に完全にブロックチェーンを実装すれば、インターネットのスタート時に西側諸国が圧倒的優位を占めたように、ロシアもそうなる可能性が大である」