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イエレン退任の花道?利上げ断行のFRB、その先に見える「1937年の亡霊」=今市太郎

イエレンの政策決定は、経済状況ではなく本人の妙な信念に基づき、退任の花道のためだけに行われていると見えます。注意すべきは1937年との共通点です。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)

※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2017年6月22日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。

大恐慌から8年後、あの「1937年の失策」が繰り返されるのか?

FOMC通過で一層わかりにくい相場に

FOMC後には一定の方向感が強くにじみ出るかと思われた金融市場ですが、むしろ各資産領域でランダムな相場が展開されています。米国の株式市場もNYダウとNASDAQが交互に上げ下げを繰り返し、債券金利は独自の道を歩むという、非常にわかりにくい展開を継続中です。

為替も同様で、ドル買いが強まってもクロス円が弱く、ポンドの影響などをもろに受けて、ドル円だけは別の動きが出ています。売っても買っても、よほどプライスアクションに敏感な売買をしないと、毎日のように投げと踏みの応酬に巻き込まれ、ちっとも儲からない相場に引き込まれかねない状況です。

NY連銀のダドリー総裁の発言で、一旦ドル円は大きく上昇米10年債金利も上昇しました。彼の発言を聞いていると、「一度、利上げすると言ってしまったものは、もうやめるわけにはいかない」といったニュアンスが異常に強いように感じます。イエレンの政策決定は「経済状況をにらんで」というよりも、もっぱらご本人の妙な信念と退任の花道のためだけに行われつつあります。そのことが日に日に鮮明になっているという状況です。

2017年と1937年の共通点と相違点

1929年にご存知「世界恐慌」が起き、それから8年がたった1937年。米国の金融当局は金融引き締めに政策を転換します。

当時は今よりもはるかに景気が回復していたという話も残っていますが、ニューディール政策などで米国の景気が回復し、企業利益も改善、株価も安値から4倍近く上昇したところを見計らって、連邦準備制度理事会はインフレ抑制策をとり始めます。

当初はやはり市場には何の変化も現れなかったものの、トランプのような財政支出大判振る舞いを画策する大統領も存在しなかったことから、財政支出削減も一気に進みました。その結果、ダウ30は1年で50%も下落するという最悪の状況に陥ってしまいます。

結局、1941年からの世界大戦が米国にとっては国をあげての一大公共事業となりますが、それでも株価が戻すのに8年の歳月を要することになります。

この1937年の失策と大きく異なるものがあるとすれば、トランプが存在することです。大型財政出動ドル安政策の貫徹がFedの政策とは関係なく進むことになれば、足元の状況にはかなり変化が出るものと思われます。

一部のファンド勢がトランプ期待で、まだNYダウは下がらないと期待しているのも、ある意味ではよくわかる状況といえます。

ただトランプ政策は遅れに遅れていますから、Fedの先走り金融引き締めで市場に変化が見え始めることのほうがかなり危惧されます。

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