fbpx

三井不動産、経常利益20.3%増の2,196億円 オフィスの賃料改定・空室率低下で

マネーボイス 必読の記事

2017年5月15日に行われた、三井不動産株式会社2017年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお届けします。IR資料

連結P/L概要(全体)

佐藤雅敏氏:説明させていただきます。

まず連結のP/Lです。売上高は1兆7,044億でして、前期比1,364億の増収であります。営業利益は2,326億円、302億円の増益。経常利益は2,196億円、307億円の増益。

親会社株主に帰属する当期純利益1,318億円でして、こちらも140億円の増益でした。売上高・各利益ともに過去最高を更新しております。

簡単に営業外について触れさせていただきますと、持分法損益が45億円になっておりまして、前期より9億円減益になっております。

タイ・バンコクで行っております分譲事業の利益の計上がありましたが、前期はシンガポールのTID社、それからロンドンにおきますテレビジョンセンターのプロジェクトで大きな持分法の利益がありましたものですから、その反動で減益になっております。

それから特別損益では273億円の特別損失になっております。このうち減損損失が255億円でして、これは資産ポートフォリオの見直しにより、一部の固定資産について保有から売却に事業方針を変更しましたので、会計基準にのっとりまして損失を計上したということです。

期末配当ですが、期初公表から2円増配しまして18円、年間では34円です。

連結P/L概要(セグメント別)

ilovepdf_com-36

続きまして各セグメント別にご説明します。

賃貸セグメントでは売上が5,365億円、利益が1,357億円で116億円の増益になっております。既存オフィスの増額改定、それから空室率の低下による増収効果、昨年オープンしました商業施設の通期稼働効果に加え、昨年度は湘南平塚のららぽーと、台湾のアウトレットが新規開業いたしまして、増収増益になっております。

それから当社単体の首都圏のオフィスの空室率は、東京ミッドタウンにおきましてテナントさんの退室がありましたので3.4パーセントで、第3クォーターの1.9パーセントからは上昇しております。

分譲セグメントですが、売上が4,887億円、営業利益652億円で、207億円の増益でした。分譲住宅につきましては計上戸数の増、利益率の向上で増収増益になっております。投資家向け分譲等につきましては、昨年8月に上場しました(三井不動産ロジスティクスパーク投資法人の)物流リートへの物件の売却が進みまして増収増益になっております。

マネジメントセグメントですが、売上が3,476億円、営業利益538億円で13億円の増益になっております。

プロパティマネジメントは受託件数の増により増収増益であります。仲介アセットマネジメントにつきましては、いわゆるリハウス事業、中古住宅の仲介事業ですが、この件数の増がありました。

一方でその前の年、三井不動産レジデンシャルで大きな物件の販売受託、それからプロジェクトマネジメントの費用の計上がありましたので、その反動により、増収でありますが減益になっております。

三井ホームは売上が2,471億円、営業利益49億円で1億円の増益になっておりまして、こちらにつきましては新築住宅事業について期首の受注残高が前期に比べて少なかったことで減収したわけですが、利益率が改善しまして若干の増益になっているところです。

その他セグメントは売上843億円、利益で59億円で11億円減益しております。ホテル事業好調に推移したわけでありますが、リフォーム事業で受注の減少等があり、全体では減収減益になっております。

連結B/S概要①

三井不動産、経常利益20.3%増の2,196億円 オフィスの賃料改定・空室率低下で

続きましてバランスシートですが、総資産は5兆5,707億円で前年度比1,964億円の増加になっております。販売用不動産1兆3,341億円で、1,664億円の増加になっております。取得環境・競合が激しくて厳しいわけでありますが、投資家向け分譲の事業機会の獲得が着実に進んだこと、それから先ほど出ました特損を計上しました物件がありましたが、固定資産の一部を販売用に振ったことで販売不動産が増えております。

それから有形・無形固定資産2兆9,677億円で、前期比11億円の減少です。国内オフィスの投資、大手町の「OH-1計画」、日比谷のプロジェクト等に投資が進んでおります。

それからアメリカ社では「55ハドソンヤード」等への新規投資が進捗しましたが、減価償却が大きかったり、あるいは海外子会社の為替影響等で減少しましてこのような数字になっております。

有利子負債につきましては2兆2,874億円で、前期比612億円の増加であります。D/Eレシオについては、1.15、自己資本比率は35.6パーセントでありました。

連結B/S概要②

三井不動産、経常利益20.3%増の2,196億円 オフィスの賃料改定・空室率低下で

38ページは、賃貸等不動産時価評価だけご説明申し上げます。バランス・シートに載っております賃貸等不動産の簿価は2兆6,450億円です。これに対します時価が4兆8,284億円でして、差額、いわゆる含み益が2兆1,833億円、前期比2,712億円の増になっております。

キャップレートの見直しがありましたことと、新規案件、日比谷のプロジェクト等の時価評価を加算しましてこのような数字になっております。

2018年3月期(2017年度)業績予想

三井不動産、経常利益20.3%増の2,196億円 オフィスの賃料改定・空室率低下で

最後でありますが、今年度の業績予想です。売上高は1兆7,900億円、営業利益は2,450億円、純金利負担等を見込みまして、経常利益は2,270億円。それから特別損益150億円が法人税等を控除しまして、親会社株主に帰属する当期純利益は1,400億円を見込んでおります。

セグメント別にご説明しますと、賃貸セグメント売上が5,470億円。利益は1,350億円で、7億円ほど減益する見通しです。既存オフィスの賃料改定が進みますが、それから2016年度に開業した商業施設の通期稼働もありますが、日比谷プロジェクトがちょうど来年の年明けに新規稼働しまして、その費用が大きいということで7億円の減益です。

それから単体のオフィスの首都圏の空室率は2パーセント台半ばを見込んでいるところです。

分譲セグメントですが、売上が5,440億円、利益が820億円で、ここが一番伸びるセグメントです。住宅分譲につきましては計上戸数3,900戸を見込んでおりまして、減少しますので減収になりますが、都心の高収益案件の利益率が高いものですから、利益率が上昇しまして増益になっております。

投資家向け分譲につきましては、国内に加えまして海外での物件売却も織り込みまして、増収増益を見込んでおります。

マネジメントセグメントは売上3,600億円、利益が520億円で18億円減益を見込んでおります。リハウス事業は引き続き堅調に推移すると見込んでおりますが、こちらのほうもレジデンシャル社におきまして販売受託の減少等がありまして、増収ではありますが減益を見込んでいるところであります。

三井ホームにつきましては売上が2,510億円、利益は51億円で1億円の増益を見込んでおります。

その他セグメントは売上880億円、営業利益60億円でありまして、ホテル事業引き続き好調に推移しますが、今年度2つほど大きなホテルが開業しますので、その開業費用等がありまして増収微増益を見込んでおります。

有形・無形固定資産の設備投資、いわゆる新規投資は3,800億円、減価償却については700億円を見込んでおります。

それから販売不動産の新規投資は5,400億円、原価回収が4,100億円であります。有利子負債につきましては、投資が回収を上回りまして2兆7,000億円を予定しております。

2017年度の1株当たりの配当金は、中間・期末とも18円を予定しておりまして、年間では36円と増配を予定しております。以上でございます。

徳田誠氏:ありがとうございました。それでは引き続きましてプレゼンテーションに移らせていただきます。菰田社長よろしくお願いします。

イノベーション2017ステージⅡの進捗状況

三井不動産、経常利益20.3%増の2,196億円 オフィスの賃料改定・空室率低下で

菰田正信氏:社長の菰田でございます。本日は大変お忙しいなか、三井不動産の投資家説明会にご出席をいただきまして誠にありがとうございます。私からは2016年度の成果を含め、経営計画の進捗状況と今後の課題等について説明をさせていただきます。

現中計では、「市場を創造しながら成長を続けるリーディングカンパニーであるとともに、グローバルカンパニーとしての地位を確立する」ということを表号して、そのための重点課題として8つの成長戦略を定めております。

2016年度はこれらの成長戦略への取り組みを通して、着実に成果が挙げられたと自負いたしております。

本日は、利益・投資計画の進捗状況について簡単に触れさせていただいた後、8つの成長戦略についてその取り組みと今後の課題を、市場環境にも触れながらご説明をしたいと思います。

定量目標の進捗状況①

三井不動産、経常利益20.3%増の2,196億円 オフィスの賃料改定・空室率低下で

まず利益計画ですが、2016年度の業績は営業利益・当期純利益ともに期初予想を大幅に上回る実績を上げることができました。とくに賃貸・分譲・マネジメントおよび当期純利益につきましては、中計の目標を1年前倒しで達成をしております。

2017年度、始まった期の営業利益は、好調な住宅マーケットや投資市場を背景に分譲セグメントがドライバーとなり、2,450億円と中計の目標を達成する見込みであります。

当期純利益につきましては、中計目標を100億円上回り、1,400億円を見込んでおります。

マーケットが好調であったことに加え、当社グループがかねてから推進してまいりました顧客志向の経営が奏功して、中計の目標を達成する目処をつけられたのですが、いずれにしましても中計以降の着実な成長、そのための基盤整備をするために、なんとしてもこの目標は達成しなければいけないと思っているところです。

定量目標の進捗状況②

三井不動産、経常利益20.3%増の2,196億円 オフィスの賃料改定・空室率低下で

次に投資計画ですが、低利な資金調達環境を背景に、用地取得競争は大変厳しい状況が続いております。

そんななかで、当社は採算を重視し厳選して投資を行っておりますので、2016年度の投資実績は計画を下回りましたが、事業法人とのリレーションを活かしたCRE戦略、あるいはパートナー戦略が奏功しまして、国の内外で複数の優良な新規事業機会を獲得できました。

これにより、D/Eレシオは1.15倍、ROAが4.6パーセント、ROEが6.7パーセントとなっております。また、2017年度は新日比谷プロジェクトなどの大型プロジェクトへの投資が国内外で予定されておりますので、結果としては中計3ヶ年における総投資額はほぼ当初の計画通りになる見込みです。

成⻑戦略への取り組み/街づくりの推進

三井不動産、経常利益20.3%増の2,196億円 オフィスの賃料改定・空室率低下で

それでは8つの成長戦略、一つひとつご説明してまいりたいと思います。

まず「街づくりの推進」ですが、当社は日本橋・八重洲エリアを中心に複数のミクストユースプロジェクトを推進いたしておりまして、現在、新日比谷・日本橋二丁目について鋭意リーシング中です。

東京のオフィスマーケットは、優秀な人材の確保や生産性向上を目的とした移転ニーズ、それから雇用人員の増加による増床ニーズが大変強く、とくに東京駅を中心としたオフィスエリア、具体的には日本橋・八重洲・大手町・丸の内・有楽町地区ですが、その動向が顕著にみられます。

また、当社が推進する複合型の街づくりによる多様な付加価値・サービスの提供が、テナントの皆様に大変高く評価されておりまして、とくに新日比谷プロジェクトにつきましては竣工時にはおおむね満室となる目処がついております。

2017年度はこれらに加えまして、日本橋室町三丁目・OH-1計画が本格的にリーシングを開始することから、引き続きミクストユースの街づくりを通して街の価値の最大化を努めるとともに、テナント営業においてはその街の価値にふさわしい好条件での成約を実現すべく、トップ営業も含めて戦略的に営業してまいりたいと考えております。

成⻑戦略への取り組み/オフィスビル事業の進化①

三井不動産、経常利益20.3%増の2,196億円 オフィスの賃料改定・空室率低下で

新たなオフィス事業・新産業創造に向けた取り組みにつきましては、ご案内のとおり、昨年3月にLINK-J、一般社団法人「ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン」を設立しております。

会員数は現時点で100社を超えております。設立以降、産官学のライフサイエンス分野の関係者が多く集まるイベントやシンポジウムを開催しております。

このような取り組みを通して、日本橋はライフサイエンスのメッカとしての認知度が高まっておりまして、国内外のライフサイエンス関連企業や、大学・研究機関等の集積が加速度的に進んでおります。

ベンチャー共創事業は、ベンチャー企業と大企業をつなぐ当社のさまざまな支援体制・実績が評価され、現在会員数は300を超えるコミュニティとなっております。一部のベンチャーでは当社グループや大手企業とのタイアップにより業容を拡大させております。

また、ベンチャー投資は、CVCファンドを通して9社の国内外のベンチャー企業に出資、また当社自ら8つのファンドに出資を行っております。

単なる投資にとどまらず、働く場やビジネスマッチングの機会の提供など、さまざまな支援を通して、ベンチャー企業とともに新産業の共創を実現すべく、今後もスピード感をもって取り組んでいく所存です。

成⻑戦略への取り組み/オフィスビル事業の進化②

三井不動産、経常利益20.3%増の2,196億円 オフィスの賃料改定・空室率低下で

さらに、既存オフィス事業の強化の一環としまして、法人向けのシェアオフィス事業「WORK STYLING」を開始いたしました。WORK STYLINGは、単にスペースの提供にとどまらず、三井不動産グループがこれまで培ってきた細やかなソリューションサービスを併せて提供するものです。

当社が考える新しい時代にふさわしい働く場の思想に、働き方改革を推進される多くの企業からご賛同いただき、開始早々30社を超える企業との契約を締結いたしております。

現在は東京都を中心に10拠点を展開しておりますが、今年度中には全国約30拠点まで拡大をする予定です。

足元のオフィス市場は立地改善や集約移転、増床等のニーズが大変強く、好調な状況が継続をいたしておりますが、市場を取り巻く環境の変化も激しくなっております。

また、2020年以降も新規のオフィスの供給が多く予定されていることからも、引き続き街づくりにおいては、ミクストユース化による付加価値創造に注力するとともに、単なるオフィススペースの提供だけではなく、テナント企業の経営課題に対するソリューションの提供を通した既存オフィス事業の更なる強化、そして新たなテナント事業・新産業の創造に一層力を入れてまいりたいと考えております。

成⻑戦略への取り組み/商業施設事業の更なる展開

三井不動産、経常利益20.3%増の2,196億円 オフィスの賃料改定・空室率低下で

続いて「商業施設事業の更なる展開」でありますが、国内の小売マーケットは昨年4月以降消費マインドの低下や天候不順、インバウンド事業の反動等を受けまして、ショッピングセンターや百貨店の既存売上高は総じて前年を下回る状況で推移をいたしました。

当社の商業施設は立地条件や魅力的なテナントミックスが評価され、昨年10月に開業したららぽーと湘南平塚は開業以来好調な売れ行きが続いております。

既存施設におきましても、来館促進のさまざまな取り組みが奏功し、施設売上高はおおむね昨年並みの水準を確保しております。

しかしながら今後は、eコマースの台頭を受け、施設間競争はますます厳しさを増すことが想定されることから、各施設の魅力や特徴を活かした差別化・競争力の強化はもちろんのこと、900万人を超える三井ショッピングカード会員の顧客基盤を武器に、既存施設の収益力向上に向けた取り組みを一層強化してまいりたいと考えております。

新規開発にあたっては、商圏人口が厚く、交通利便性に優れた好立地を厳選しながら、引き続き事業機会の獲得を目指してまいります。なお、現在未開示の物件も合わせますと2018年以降も年に2、3件のパイプラインが確保されております。

成⻑戦略への取り組み/物流施設事業の拡⼤、投資家共生モデルの推進

三井不動産、経常利益20.3%増の2,196億円 オフィスの賃料改定・空室率低下で

物流施設事業につきましては、昨年8月に三井不動産ロジスティクスパーク投資法人を設立いたしました。これにより、当社が関連する全5リートの資産規模は2兆円を突破いたしており、投資市場の拡大に大きく貢献することができたと考えております。

足元の投資市場は好調な状況が継続しておりますが、その一方で取得環境は一段と厳しさを増しております。当社はそのような状況下でも、国内外において着実に新規案件の獲得ができており、結果としては、2016年度末の棚卸資産は昨年以上の残高を確保することができました。

我々は、この仕入の力を武器に新たな事業機会の獲得に注力するとともに、豊富なパイプラインをもとに投資市場の更なる拡大にも寄与すべく、2017年度も引き続き物件の売却を進

めてまいります。

成⻑戦略への取り組み/住宅事業の競争⼒強化

三井不動産、経常利益20.3%増の2,196億円 オフィスの賃料改定・空室率低下で

続いて、住宅事業の競争力の強化についてですが、住宅マーケットは販売価格の上昇により郊外など物件によっては顧客の検討期間に長期化がみられます。

しかしながら顧客の購入マインドは引き続き強く、当社が販売した都心のハイエンド向けや大規模再開発型など、付加価値の高いマンションは好調な売れ行きが継続しております。

2017年度はこれらの物件が竣工を迎えることで、利益率の上昇とともに分譲セグメントの増益ドライバーとなっております。

また、中古取引においても昨年の首都圏における成約数が新築住宅を上回り、当社グループの三井のリハウスの取扱高は過去最高を記録するなど、好調な状況が継続しております。

しかしながら、これからの住宅マーケットは人口減少や社会の成熟化、高齢化等を背景に、顧客ニーズはますます多様化・高度化が進んでいくことが想定されることから、今後の住宅事業の成長のためには、ハードとしてのすまいに加え、くらしに関するソフト・サービスをいかに提供していくか、またグループの住宅事業を担う会社が一体となって切れ目なく顧客に商品・サービスを提供していくことができるかどうかが、一層重要になってくると考えております。

このため、当社はこの4月に「すまいとくらしの連携本部」を新たに設立いたしました。今後は当本部が核となり住宅事業全体の成長戦略を策定・推進していくことで、グループ各社の相互連携を一層深め、住宅事業の更なる収益力の向上を目指してまいります。

成⻑戦略への取り組み/ホテル・リゾート事業の拡⼤

三井不動産、経常利益20.3%増の2,196億円 オフィスの賃料改定・空室率低下で

ホテル・リゾート事業についてですが、2016年度は名古屋・京橋の2ヶ所で新たにガーデンホテルを開業いたしました。いずれも当初の想定を上回る高い稼働率・ADRが実現できておりまして、好調に推移をしております。

ホテルマーケットは、一部に国内事業の伸び悩みや宿泊先の多様化等により稼働率の上昇に鈍化がみられますが、三井ガーデンホテルはインバウンドはもちろん、国内のアッパーミドル層から立地や品質に高い評価をいただいておりまして、稼働率は安定的に9割を超える水準を維持し、ADRもレベニューマネジメントが奏功し、前年度比で5パーセントプラスと上昇傾向が続いております。

また、投資面でも確実に新規プロジェクトの獲得が進んでおりまして、当初目標としておりました2020年度運営客室1万室につきましては、実現の目処をつけることができました。

成⻑戦略への取り組み/海外事業の⾶躍的成⻑ 欧米

三井不動産、経常利益20.3%増の2,196億円 オフィスの賃料改定・空室率低下で

海外事業の飛躍的成長につきましては、欧米におきましては英国のEU離脱に向けた動き、米国ではトランプ政権が進める保護主義的な政策の方向性など、依然として不確実性の高い状況が続いておりますが、当社が進めているプロジェクトはいずれも競争力が高く、現時点でその影響は限定的であり着実にリーシング・販売が進捗をいたしております。

英国のテレビジョンセンターの分譲住宅はブレグジットの投票以降も順調に契約が進捗いたしておりまして、現時点で約7割の契約率でございます。

エンジェルコートはテナントからの引き合いが強く、内定も含めて4割程度まで進捗をいたしております。

また、ニューヨークの大規模オフィスプロジェクトであります「55ハドソンヤード」も、当初の想定を上回る賃料水準ながら内定率は7割に達しておりまして、非常に好調に推移をいたしております。

また、新規投資の面でも新たなパートナーとともに、ニューヨークで米国初となる分譲住宅のプロジェクトを取得。ワシントンD.C.では、同様にワシントンD.C.で初めてとなる賃貸住宅のプロジェクトを獲得することができました。

成⻑戦略への取り組み/海外事業の⾶躍的成⻑ 中国・アジア

三井不動産、経常利益20.3%増の2,196億円 オフィスの賃料改定・空室率低下で

アジアでは、昨年1月に三井アウトレットパーク台湾林口が開業いたしました。開業以来好調な販売状況が続いておりますが、この3月にMRTの開通を迎えましたことで来館者がますます増加をしておりまして、今後更なる施設売上の拡大が見込まれております。

また、新規投資の面でも、台湾におきまして2つの商業施設が獲得できたことに加え、台北では当社直営としては東南アジア初のホテルの事業を獲得することができました。

現在も複数のホテル用地について検討を進めておりまして、今後はホテル事業を商業施設や分譲住宅と並ぶ事業として成長させてまいりたいと考えております。

2017年度の海外事業利益は為替の影響等もございまして、中計目標には届かないものの、着実に利益の伸長が進んでおります。

また、2018年度以降も欧米・中国・アジアで進行中のプロジェクトが竣工を迎えますことで、一層の利益拡大を実現したいと考えております。これらプロジェクトの収益・利益の最大化を図るべく、引き続き好条件でのリーシング・販売に注力いたしますとともに、優良パートナーとのリレーションを深めながら、更なる新たな事業機会の獲得に努めてまいりたいと考えております。

営業利益・当期純利益の過年度推移

三井不動産、経常利益20.3%増の2,196億円 オフィスの賃料改定・空室率低下で

以上、8つの成長戦略について駆け足でご説明させていただきましたが、冒頭申し上げましたとおり、2016年度は引き続き高い利益成長を実現し、成長戦略への取り組みも着実に成果を上げることができたと考えております。

2017年度は中計最終年度でありますとともに、次期中計に向けての布石を打つべき大変重要な年でありますので、まずは利益目標に掲げた営業利益2,450億円、当期純利益1,400億円を確実に達成させる所存です。

一方、世界経済は地政学的リスクも含めまして、不確実性が一層高まっていることに加え、国内においては不動産業界を取り巻く社会環境は急速に変化をいたしております。

これら環境の変化に柔軟に対応し、2018年度以降も持続的に企業価値を高め、三井不動産グループの目指す姿を実現するために、現中計で定めた、先ほどご説明申し上げました8つの成長戦略への取り組みを、更なるスピード感をもって推進してまいりたいと考えております。

私からは以上です。

いま読まれてます

記事提供:

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー