株の「効能」と「副作用」
皆さんは普段、風邪をひいたり、腹痛などの病気になったら、病院に行って調剤薬局でお薬を処方してもらうかも知れません。
調剤薬局では、薬剤師が患者に提供する薬の効能を説明します。こうした薬は、開発から治験などを経て、上市に至るまでに何年にもわたる期間を必要とします。
そして、薬剤師さんの説明では、必ず副作用の話が出てきます。それが抗生物質だったりすると、なおさらです。効能と副作用は対になっているのかも知れません。
なぜこんな話をするのかというと、株式にもあてはまるのではないかと思うからです。
株式に投資する皆さんは、投資することで何らかのリターン・メリットを受けようと考えておられるのかも知れません。対面営業の証券会社には、経験豊富な営業マン(中にはアナリスト資格やFP資格を持っている方も)がいます。取引の際には、富裕層であれば特に、各株式の性質・価値・株価の値動きなどについてじっくりと説明を受けているのかもしれませんが、いかがでしょうか。
ただ、株に効能書などないとお考えになっている投資家の皆さんは、そうした対面営業マンの説明など要らないとお感じになるかと思います。その場合に、株の効用を説明する役割を担っているのが、会社四季報などの情報誌です。これらの情報は、SBI証券やKABU.COM証券などのオンライン証券でも閲覧することができます。
読者の皆さんの多くは、対面営業ではなく、こうしたネット上で株式取引ができる証券会社を活用されているはず。しかし実は、そこにも多くの株の効能書が付いていることに、気がついておられる方もいるかと思います。
株は、魚や野菜といった生鮮品と同じです。業績が変動するので、株価も変動がつきもの。さきほど説明を受けて投資したばかりの株の効能が、あっと言う間に陳腐化してしまうことだってあり得ます。
風邪に効く薬が必要なのに、間違って腹痛用の薬が投薬されるようなミスは許されないことです。事故に遭わないためにも、投資家の皆さんはまず投資の目的は何か、投資資金の規模やリスクに耐えられる期間はどの程度かなどを明確にしておかないといけません。
短期で儲けるための投資では、かなりプロ的な効能書が求められます。それは投資家にとって、かなりの副作用を伴うものという認識を持つ必要があります。
反対に、中長期投資の資金とは言っても、書かれている効能書が間違っていたら、いつまでもリスクだけを負い続けることになってしまいます。
投資家にとって、株式投資を勧める証券会社や助言サービス会社は資産運用の良き相棒であるに違いありません。株の効能書をお互いに読み砕いて、納得して投資することが求められます。
株の効能書としては、アナリストが書いた膨大な企業レポートがネット上で掲載されていることもあります。証券会社やIR会社のサイト内、企業サイトなどにこうした効能書に似た報告書があり、皆さんも閲覧されているのかも知れません。
ほとんどの場合、そうした株の効能書には投資に際しての注意が添えられています。「自己責任の下で服用して下さい」と。
『億の近道』(2017年7月3日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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