防相がいかなる意図を持っていたかはさておき、「防衛省、自衛隊、防衛大臣」を持ち出してしまった以上、
自衛隊法や公職選挙法に違反する恐れが強いことは、すでにあちこちで指摘されています。
しかし、より重大なのは、稲田発言に以下の含みがあること。
1)自民党候補が当選しないかぎり、板橋区、ないし東京都と、自衛隊の連携は成立しない。
2)連携という形で、地元民、ないし都民が協力しなければ、自衛隊は活躍できない。
3)よって自衛隊に活躍してほしければ、自民党候補に投票すべきである。
すると何ですか?
板橋区で自民党候補が落選したり(※)、都議選で自民党が敗北したりしたら、
自衛隊は板橋区民、ないし東京都民を守ることに責任を持たない(または持てない)、
そういうことですか?
(※)2人出馬していましたが、ともに落選しました。
この論理に従うなら、自衛隊は板橋区民、ないし東京都民を守るという大義名分のもと、
特定政党の候補者の当選を要求して良いことになります。
これがバークの指摘した、軍による自治体の支配でなくて何なのか?!
のみならず。
自治体を守るという大義名分のもと、特定政党の候補者の当選を要求して良いのであれば、
同じ大義名分のもと、特定政党の候補者の落選を要求しても良いはずでしょう。
どうも稲田防相は
「自民党のためなら、自衛隊は暴走しても構わない」
とお考えのようなのです。
現に30日の記者会見でも
「地元の皆様方の協力がなければ自衛隊の協力はできないと繰り返し申し上げていたし、
演説のなかでもそういう趣旨、地元の皆様方の協力の趣旨を述べた」
と釈明していました。
http://www.asahi.com/articles/ASK6Z3RK2K6ZUTFK006.html
「自衛隊の協力はできない」は、「自衛隊は活躍できない」の間違いと思われますが、そんなことはどうでもよろしい。
防相の頭の中では
「地元の皆様の協力=自民党候補への投票(=自民党候補の当選)」
の図式が成立している以上、
これは「自衛隊に守ってほしかったら、自民党に入れろ」
と言ったに等しいのです。
いったい何を撤回して、何を謝罪したのでしょうか?