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マレーシア第2の都市・ジョホールバルが「廃墟化」するこれだけの理由=午堂登紀雄

コンドミニアム下層のショッピングモールは歯抜けになる?

新規コンドミニアム開発の多くは2棟、3棟、4棟といった連棟の巨大プロジェクトで、最下層部はおおむねショッピングモールになる予定です。

ショッピングモールの上が駐車場、その上がレジデンス、というのが大抵のパターンなのですが、どう考えても同じエリアに大量の店舗用地を埋めることができるとは思えません。そもそも客がいないのにあちこちのモールに同時にテナントを誘致できるはずもなく、仮に今出店しても閑古鳥が鳴くだけで、すぐに撤退ということになるのは必至です。それに、これだけのモールの売上を維持するのは、コンドミニアムの住人やオフィス労働者だけでなく、外部からの一般客が来なければ難しいと思われます。

そういえば私が投資したコンドのモールエリアにコンビニが1つ出店していましたが、10月下旬の訪問時、店内の客はゼロでした。テナントがいない歯抜けだらけのモールは、さびれた印象がして人は近づかないでしょう。しかし人がいないから売上目途が立たず、テナントも出店しない。こちらも負のスパイラルです。

そんなガラガラのモールの上階にあるコンドミニアムを買いたいと思う人は多くないことが予想され、ショッピングモール併設のコンドの資産価値は著しく低下する可能性があります(ただしこれはデベロッパーのテナント誘致力に左右されますから、たとえばKLで成功したデべロッパーの実績などを確認しておく必要があります)。

需要層と供給される物件グレードのミスマッチ

そうはいってもJBの人口は首都KLに次ぐ第2の都市。東京や大阪のように、マレーシア全土から人がやってきて、人口は着実に増えている。ならば、賃貸が決まらないはずはないのに…と思ったらからくりが。

これは現地の不動産業者から聞いた話ですが、増えている人口の内訳のほとんどはマレーシア人にもかかわらず、供給されるコンドミニアムは高級路線に偏っており、そこにミスマッチが発生していると言います。

デベロッパーが考えるのは、どうせ同じ規模の物件を建てるなら、高く売れた方がいいということ。となると、お金持ちの外人・外国資本を獲得したい。しかしマレーシアでは100万リンギット規制(外国人は100万リンギ以上の物件しか買えないという規制。為替レートを1リンギ25円とすると2,500万円以上)があるため、そうならばどうしても100万リンギ以上の物件を建てたがる。

そのため、現地人の感覚からすると、手が届かない高価格帯の物件ばかりが供給されることになります。すると月給10万円前後のローカル国民が払える賃料のグレードには程遠く、もちろん住宅ローンを組んだとしても購入できる価格帯ではありません。

こうしてローカル向けの安価な物件は数が足りない半面、彼らには縁のない高級物件は借り手がおらず余るということになるわけです。この現象はまだ続いており、これから売り出されるプロジェクトの多くも高価格帯路線。このミスマッチは拡大こそすれ、縮小される気配は今のところありません

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