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「海外銀行口座」開設への道(完) 国外資産は隠せない?ぼくらが旅に出る理由=俣野成敏

【海外銀行口座の特徴とは?】

それではここで、日本の銀行口座にはない機能を持った海外の銀行口座をご紹介しましょう。

<HSBC>

香港上海銀行。英国の金融グループHSBCホールディングス傘下の国際銀行。香港に本店があり、香港ドル発券銀行の1つとなっています。特徴を以下に列記すると、

(1)最大の特徴はマルチカレンシーという仕組み。1つの口座の中で11種類の通貨を持つことができ、その通貨をそのまま海外送金したり、銀行窓口で引き出すことが可能。

(2)UnionPay(ユニオンペイ:中国銀聯カード)に対応しており、世界中のATMでキャッシングやショッピングに利用可能。

(3)プレミア口座(約1000~1500万円以上の入金が必要)を開設すれば、他国のプレミア口座も無審査で開設でき、その口座間は海外送金でも手数料無料で使うことができます。

<OCBC>

オーバーシー・チャイニーズ銀行の略。華僑系の3銀行が合併してできた、シンガポール地場メガバンクの1つ。ブルームバーグの調査によると、世界でもっとも財務基盤が安定している銀行と評されている銀行です。その特徴とは、

(1)こちらも同様に複数の外貨含む通貨を保有でき、外貨のまま窓口からの引き出しや海外送金も可能。ただし、各通貨はすべてそれぞれの口座(別口座)での管理となるのがマルチカレンシーの口座との違いになります。また外国居住者の場合、口座間の資金移動や送金指示は英語での電話、書面等のやりとりが必要となります。

このようにOCBCでは複数通貨を保有できるものの、各口座が分離されています。よって資金の移動に一手間かかりますが、世界的にはこちらのほうが一般的です。

(2)OCBCの通常口座の場合、対応ブランドがNETSというシンガポールマレーシア系のローカルブランドのため、海外でのATM利用は難しいのが現状です。デビット機能付のプレミア口座か、クレジットカード付帯のATMカードであればVISAマスターに対応しており、世界中での利用が可能です。ただしクレジットカードは今のところ現地人向けのみとなっています。

(3)海外居住者(シンガポール非納税者)が利用する際、海外で出金などをしたければプレミア口座をつくらなければなりません。そうなると、入金額にして約1600万円相当の口座預け入れが必要となります。プレミア口座の特典としては、専任のバンカーがつく、支店でVIP対応をしてもらえる等のサービスが付きます。

以上、日本から身近な金融先進国2国で代表的な銀行を2つご紹介しました。日本の銀行口座との一番大きな違いは、複数通貨の保有ができる(外貨を外貨のまま使える)ことです。

海外口座を選ぶ際には、口座の使い勝手の他に、銀行本体が持っている財務基盤がしっかりしているかどうかというのも大事なポイントです。本シリーズの中編でご紹介したフィリピンのイースタンリザール銀行のように、金利につられて預け入れを行っても、破綻してしまっては何の意味もありません。

Next: 海外の銀行口座を「凍結」されないための具体的な対策とは?

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