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誰が日本のパチンコを殺すのか?出玉規制とカジノ解禁のカラクリを読む=栫井駿介

小さなプールに大男たちが押し寄せる

ところで、カジノは本当にそんなに魅力的なビジネスなのでしょうか。

世界のカジノ市場規模は22兆円と言われています。日本のパチンコの市場規模とほぼ同じです。日本のパチンコがいかに大きな市場であるかおわかりいただだけるでしょう。

日本にカジノが建設されたら、その市場規模は最大で2~3兆円程度と言われています。日本全国でこれだけですから、パチンコに比べたら実はさほど大きな市場ではありません。

パチンコの市場規模は、この10年間で平均して年1兆円縮小しています。つまり、カジノができたところで、その増加分はパチンコ市場の縮小により2~3年であっさり消し飛んでしまうのです。

さらに、カジノの運営に手を挙げるライバルは日本企業だけではありません。ラスベガスやシンガポール、マカオで巨大カジノを運営するラスベガス・サンズをはじめとする世界中の巨大カジノ企業が大挙して押し寄せてくるでしょう。それに比べたら、日本のパチンコ屋はひよっこでしかありません。

7月21日追記・訂正:文中に「世界のカジノ市場規模は22兆円と言われています。日本のパチンコの市場規模とほぼ同じです。」とありますが、カジノの市場規模は配当後の粗利益がベースとなっており、同様の基準ではパチンコの市場規模は約4兆円となります。そのため、「カジノができたところで、その増加分はパチンコ市場の縮小により2~3年であっさり消し飛んでしまう」の記述は撤回いたします。上記を踏まえるとカジノのインパクトの大きさは否定できませんが、いずれにせよ日本のパチンコメーカーにとって勝ち目の薄い競争であることに違いはありません。著者:栫井駿介)

そもそもIR推進法が成立したのは、トランプ氏が大統領に指名され、安倍総理がアメリカに飛んで会談を行った直後です。奇しくも、ラスベガス・サンズのアデルソンCEOは、大統領選挙戦においてトランプ陣営への最大の資金提供者の1人でした。

会談後、これまで鳴かず飛ばずだったはずの法案を急に成立させたのは、そこでカジノに関する何らかの会話が行われた可能性を示唆しています。安倍総理はトランプ大統領に、金のゴルフセット以上のお土産を渡したのです。

このような経緯があることから、カジノは日本企業の単独運営ということには決してならず、ラスベガス・サンズのような外資も含む多くの事業者が参入することになるでしょう。

小さなプールのような厳しい競争の中で、まだよちよち歩きの日本のパチンコ企業が大きな利益を挙げることは至難の業です。

「カジノ関連銘柄」として、遊技機メーカーがもてはやされる瞬間も少なくありませんが、これらの企業が直面しているのは急激に進む人々のパチンコ離れであり、カジノはその根本的な解決策にはならないでしょう。

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