JR九州とは因縁のライバル関係
バス事業と並んで西鉄の売上を支えているのが不動産事業です。西鉄の不動産事業の中核は、福岡の中心街である「天神」です。
天神といえば、東京に例えると銀座と新宿の両方を兼ね備えたような、福岡における商業の中心地です。一方で、博多駅前は東京駅周辺のビジネス街になぞらえることができるでしょう。しかし近年、その棲み分けが大きく変わりつつあります。
2011年に「JR博多シティ」を開業すると、周辺の商業施設はにわかに活気づきました。JR博多シティには「博多阪急」が入り、天神に古くからある百貨店の顧客を奪いつつあります。さらには駅ビルに最新流行を取り入れたテナントが入り、若年層の呼び込みにも成功しています。
博多駅周辺の商業施設の元締めが九州旅客鉄道(JR九州)<9142>です。実は西鉄とJR九州は、福岡県を南北に走る路線が並行し、古くからライバル関係にありました。
そんな中、民営化して上場を目指していたJR九州が不動産事業に本腰を入れ始めると、天神vs博多駅という、西鉄とJR九州の第二次戦争が勃発したのです。
目新しさにおいて引けを取る西鉄は、天神の再開発を急ぎ、JR九州に対抗しようとしています。対するJR九州も次の一手を打ってくるでしょう。両社のライバル関係は当分続くことになりそうです。
福岡は全国的にも人口の増加率が非常に高い地域です。過去5年間における政令指定都市の人口増加率・増加数はともにトップとなっています。西鉄とJR九州が競い合って街を盛り上げていけば、福岡の街と一緒に会社としての価値も上向いて行くことが期待できるでしょう。