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内閣改造はなぜ愚策なのか? 安倍総理が「こんな人たち」に負ける理由=近藤駿介

日本社会は「その時」に備えよ

米国株式市場はトランプ大統領の支持率が低空飛行を続ける中でも主要3指数ともに史上最高値を更新してきた。株価の上昇に大きく貢献してきたのは、政府から独立した中央銀行FRBが慎重な金融政策をとってきたことである。

一方、日本では安倍政権と黒田日銀が一体となって「アベノミクス」を推進してきている。黒田日銀は7月20日に2年で達成すると豪語してきた「2%の物価安定目標」の達成時期を「2018年度中」に先延ばし、金融緩和を継続することを表明した。目標達成時期の先送りは既に6回目であり、任期が来年4月に迫っている黒田総裁の下での目標達成を諦めた形となっている。

一般社会の常識に従えば、6度も目標達成時期を先送りしなければならない状況になれば、目標設定に問題がないのか、あるいは設定した目標に対して手段が適切でないのかを検証し、修正していくのが普通である。

しかし、「2%の物価安定目標」を達成するために「異次元の金融緩和」を実施するためだけに誕生した黒田日銀には、目標設定の是非や手段の適正性を検討する権限は実質的に与えられていない

5年間という時間を掛けて実現できなかった目標と手段をこのまま続けていくためには、安倍政権が高い支持率を維持し、「安倍一強」体制を保つことが必要条件である。

安倍総理の支持率が今後も低迷するとしたら、「2%の物価安定目標」の達成時期を6回も先送りした「異次元の金融緩和」の推進役である黒田総裁の続投は望み薄となってくる。つまり、安倍総理の支持率急落の影響はアベノミクスの推進に大きな逆風となる。

安倍総理の支持率急落は「アベノミクスは黒田日銀総裁の任期と共に去りぬ」という状況を招くことになる。

閉会中審査と内閣改造で「総理の人柄」に対する信頼を回復できなければアベノミクスも行き詰まることになる。市場がそのような認識を抱けば、安倍政権の高支持率の原動力であった「円安・株高」にも転機が訪れる可能性がある。その時には安倍総理を支持しない理由として「政策に期待を持てない」が急上昇することになるはずである。

「総理の人柄」と「政策に期待を持てない」というダブルパンチを食らって安倍政権は持ちこたえることはできるのだろうか。安倍内閣の支持率急落は、日本経済に負のスパイラルをもたらす危険性を秘めている。日本社会は「その時」に備え始める時期にきている。


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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2017年7月25日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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