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予想外の大幅上昇も? 日経平均株価「この夏のシナリオ」を読み解く=伊藤智洋

現在の日経平均は、値幅の伴った調整が入る前の、時間待ちの状態にあります。このような状況のときは動き方が限られているので、その見方について解説します。(『少額投資家のための売買戦略』伊藤智洋)

プロフィール:伊藤智洋(いとうとしひろ)
証券会社、商品先物調査会社のテクニカルアナリストを経て、1996年に投資情報サービス設立。株や商品先物への投資活動を通じて、テクニカル分析の有効性についての記事を執筆。MS-DOS時代からの徹底したデータ分析により、さまざまな投資対象の値動きの本質を暴く。『チャートの救急箱』(投資レーダー社)、『FX・株・先物チャートの新法則[パワートレンド編]』(東洋経済新報社)など著書多数。

※本記事は有料メルマガ『少額投資家のための売買戦略』2017年7月23日号を一部抜粋・再構成したものです。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。今月配信済みバックナンバーや本記事で割愛した項目もすぐ読めます。

足元の日経平均は大幅調整待ちだが…この「典型的な動き」を読め

上昇ジグザグと下降ジグザグの違い

6月25日のメルマガで、日経平均株価は、19500円前後が押し目になるパターンと、18500円前後が押し目になるパターンの2通りが考えられると書きました。この見方に変更はありません。

現在は、値幅の伴った調整が入る前の、時間待ち状態の典型的な値動きになっています。このような状況のときは動き方が限られているので、その見方について紹介しておきます。

現在のジグザグは、上昇しやすい状態から、買い材料が乏しく、積極的な投資が控えられやすい状態へ変化する時期にあらわれている動きです。このような場面であらわれる上値、下値を切り上げるジグザグは、積極的に下げ難い状況の中で、その時点での上値余地があまりない、戻り高値以上を積極的に仕掛ける動きが控えられていることであらわれています。今のところ下げられないけれども、もう少し時間を経過すると、下げ余地が出てくるという状況の中であらわれます。

上昇と下降の流れは、同じだと考えられがちですが、少しだけ違いがあります。それは、上昇の場合、人気化するか否かがあいまいで、結果でしか判断できないということです。

上昇は、市場参加者が積極的に行動しなければ作ることのできない動きです。多くの市場参加者が積極的になる可能性のある場所は、資金を移動しなければいけない理由のある場所で、だいたいの目安があります。しかし、その年のその場面で実際に人気化するかどうかは、結果でしかわからないのです。

一方で、下降は、上昇の後に現れる動きであり、上昇を作り出した市場参加者が逃げるだけであらわれる動きです。したがって、上昇の流れが一時的にせよ終焉する場合、必ずあらわれると考えておける動きなのです。

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値動きを比較すれば、ほとんど変わらないのですが、投資する場合、この違いは大きいのです。時間待ちの動きを経過して、上昇すると考えていても、いつ上がるのかわかりません。おおまかな時期と値位置を推測できていても、本当に上昇するのかがはっきりしていない状況では、時間を経過するごとに疑いが強くなります。

一方で、上昇しやすい時期から、下降しやすい時期への転換場面で、上値の重くなっている状況では、時期がくれば下げるということがはっきりしています。その時期は、上値が重いことがわかる時期や動き方となります。戻り高値を付けた後の下げ方は、多くの市場参加者が上値重いと判断して、一斉に手じまいへ向かうのですから、一定の幅分は急落するのです。

Next: 下げ余地を確認する揉み合いから、株価は上下どちらへ向かうか?

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