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起承転結で学ぶ、日本経済のバブル崩壊から異次元緩和までの歴史=東条雅彦

これまでの経緯のまとめ

【起】(1970年代)
・中東の政情不安から2度の石油ショックが起きた

【承】(1980年代前半)
・日本は輸出業を中心に経済を立て直しつつあった
・米国はレーガノミクスにより双子の赤字を抱えるようになった

【転】(1985年)
・先進各国は米国の要求を飲んでプラザ合意に応じた⇒円高ドル安の発生
・日本は経済を「外需」型から「内需」型に転換する政策を進めた

【結】(1980年代後半)
・日銀の低金利政策と日本政府の内需拡大政策が裏目に出て、資金が株と不動産に向かい、日本をバブル経済に追い込んでしまった!

(1990年には日経平均株価が暴落し、バブル経済が崩壊した)
→ その後「失われた25年」に繋がっていく

最後の賭けに打って出た「異次元の金融緩和政策」

日本のGDPはバブル経済が崩壊した1990年代前半からあまり伸びなくなってきて(下図の赤枠部分)、経済が停滞するようになります。

<政府総債務残高/GDP/債務残高対GDP比(1980年~2016年)>

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バブル崩壊後も、国債発行残高だけは確実に積み上がってきています。気がつけば、GDPに比べて政府総債務残高が2倍以上に膨らんでいます。

日本経済の潮の目が変わったのは、1985年のプラザ合意です。米国を救うためにすべての要求を飲みました。米国に10年間で40兆円の公共投資を要求されて、1990年代には合計400兆円(10年間×40兆円)の債務を積み上げました。

  • 元々の債務300兆円
  • 米国要求の公共投資400兆円
  • その他(社会保障費等)300兆円

合計すると、債務は1000兆円を突破して、1990年代からGDPの伸び率が著しく鈍化したこともあり、既に財政の持続が不可能な領域に突入しています。

政府の一般会計歳出に占める主要経費の割合(2017年度)を確認すると、

  • 国債費(借金の返済):全体の24.1%(約4分の1)
  • 社会保障費(年金、医療等):全体の33.3%(約3分の1)

に達しています。この2つを合計すると57.4%です。

<一般会計歳出に占める主要経費の割合の推移(1960年度~)>

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社会保障費国債費の2つの経費に共通しているのは、政府の主体的な意志でコントロールするのが難しいという点です。

国債費は過去の借金の返済なので、支払いを拒むわけにはいきません。社会保障費は高齢者の割合が増えれば、自動的に上昇していく経費です。人口動態を短期で動かせないため、これも実質的にはアンコントローラブルな経費になっています。

1960年度の予算を見ると、国債費と社会保障費の合計割合がたったの12.6%でした。昔の方が圧倒的に政府は「富の再配分」によって、自由な経済政策を実行できました。今はもう6割近い支出が防戦型の経費(社会保障費、国債費)で消えていき、経済を良くするような攻撃型の経費に予算を配分するのが難しくなってきています。

そしていよいよ、行き詰った日本政府は最後の賭けに出ることにしました。それが2013年4月から始まったアベノミクス(異次元の金融緩和)です。

日銀は、政府が毎年積み増す約40兆円分の国債を全量、買い切っています。日銀が政府の債務を肩代わりしなければ、代わりに買い支えてくれるプレイヤーは存在しません。現在、進行中の「異次元の金融緩和政策」は、我が国にとっては最後の金融政策となります。

リフレ政策の真の目的は「財政ファイナンス」と「金融抑圧」の2つです。今までの歴史の点と点を結んでいくと、リフレ経済学は生まれるべくして生まれたものです。

そして、起承転結の物語りの「結」については、密かに現在進行形の話です。日本円に対する信任がなくなるまで日銀は異次元緩和を続けて、政府の財政破綻という本当の結末がやってきます

その結末に遭遇するまで、政府系エコノミストは「大丈夫だ」と言い続けるでしょう。過去の数字を追っていけば、政府の財政持続が危うくなっていることは明らかなのに、国民には真実を伝えない…。とても情けない話です。

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ウォーレン・バフェットに学ぶ!1分でわかる株式投資~雪ダルマ式に資産が増える52の教え~』(2017年7月30日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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