あらためて、会社は誰のものか?
事業にリスクがあり、株主が損失を被る。企業がミスをすればその分、株価が下がるので、株主は損失を株価で補填することになります。
しかし、その会社は社会の中で、何らかの責任を果たしています。事業には供給責任という社会性やそれを継続することによる暖簾や信用というものがあります。
商人の世界では、当たり前のことでんがな。持ちつ持たれつ。この前は助かったよ。だから、今回は助けてねと。需要者と供給者との関係は持ちつ持たれつです。
将来のために、今、損をすることも…
事業にはリスクが伴います。そのリスクを負うことができるのは、企業に余力があるからです。
今回の給食事業のケースでは、簡単に「自己資本が減った」と書きましたが、もともと、自己資本がない場合、表面的には自己資本はありますが、現金がない場合はどうしたらよいのでしょうか。
現金がなければ、資金繰りをしなければなりません。資金繰りができなければ倒産。事業は継続できません。保有現金は、事業を継続するためのリスク・バッファのようなものですから、おいそれと配当として外部流出させることが得策とは限らない場合もあります。
会社の現金は株主のものかもしれませんが、今だけの株主のものではなくて、未来の株主のもの、未来の顧客のものとも言えるからですね。今の株主、未来の株主、顧客、社員等、ステークホルダーを同じ社会の構成員として同等に扱うのが自然な姿です。
株主が無数にいる場合、会社は誰のものでしょうか?
会社を100万人の株主で少しづつ保有する場合、もはやひとりひとりの株主は希薄な存在にすぎません。
100万人をひとつのコンセプトとして、株主として括ることは形式上はできます。ですが、100万分の1の保有に対して、「会社を保有している」という意識が持てるはずがありません。
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