どちらがお得?「通常の賃貸経営 vs サブリース契約」
それでは、通常の賃貸経営とサブリースはどちらが良いのでしょうか?それぞれの特徴を比較しながら、先入観を捨てて見ていきましょう。
通常の空室対策(入居付け) vs サブリース(家賃保証制度)
空室対策(入居付け)には、「事前の対策」と「事後の対策」があります。まず、通常の場合、「事後の対策」には以下のようなものが考えられます。
- 敷金・礼金を下げる
- フリーレントをつける
- 広告費をつける
- プレゼントなどをつける
- 家具・家電などをつける
- インターネットなどを無料にする
- たくさんの不動産業者を回ってお願いする
- きれいな写真を撮って業者に渡す
- ワンポイントリフォームや格安リフォームをする
などなど、要は工夫次第で何でもできるということです。
それに対してサブリースでは、基本的にこのような工夫をすることができません。なぜなら、大家はサブリース業者と賃貸借契約をしているわけで、サブリース業者が行う空室対策(入居付け)に口出しすることはできないからです。
さて、上記は「事後の対策」でしたが、本当に大事なのは「事前の対策」です。「事前の対策」は、物件を購入(建築)する前に行います。
通常の賃貸経営では、常に空室になるリスクが存在します。特に3月や9月など節目の時期は、転勤や卒業などがあるため空室が発生しやすくなります。そのため賃貸経営では、空室について以下の点をあらかじめ検討しておく必要があります。
- その物件ターゲットの特徴は?(学生街か家族向けか等の調査)
- その物件の空室率は?(需要予測)
- 空室率を加味した家賃収入で黒字化できるのか?(収支計算)
- 空室対策にかかる費用はどれくらいか?(周辺の広告費やフリーレント相場の調査)
- 最悪の場合、いくらまで家賃を下げれば空室が埋まるか?(周辺家賃相場の調査)
これらを言い換えると、その物件があるエリアの需要を調査するということです。つまり「事前の対策」のキモは、起こりうる空室に対してマーケットの中でちゃんと対応可能かをあらかじめ調査することなのです。
このエリアの需要調査は、サブリースを利用する場合でも同様に行わなくてはいけません。
しかし残念なことに、サブリースを利用する人の大半は、物件購入前の需要調査を行わない傾向にあるようです。
空室になっても業者が家賃を保証してくれるため、ついつい脇が甘くなってしまうだけでなく、サブリースを利用する人は、そもそも賃貸経営のノウハウを知らない人が多いからだと思います。
私は、大家さんとして最初の何棟かは、家賃保証をつけずに、自分で通常の空室対策(入居付け)をすることをオススメしています。
最初からサブリースを利用すると、事前の空室対策の大事さや、事後の空室対策のやり方を学ぶ機会を失ってしまうからです。サブリースを利用するのは、事前・事後の空室対策などを経験してからでも遅くないと思います。