実際にイタリアがユーロ圏やEUを離脱する可能性は?
イタリア憲法は国民投票による国際条約の破棄を禁止している。従って、ユーロ圏離脱、あるいは欧州連合離脱を問う国民投票前に、憲法改正が必要になる。その改正には上下両院で3分の2議席以上の賛成票が必要だ。
さらに、イタリア国民が離脱「賛成」を選んでも、その結果を憲法裁判所が阻止する可能性があると言われている。
イタリア国民の約40%が反欧州連合だとする調査もあるが、ユーロ圏離脱派は15.2%のみ。67.4%はユーロを支持しているという調査もある。
また、11月29日に、独センティックスが発表した投資家調査では、イタリアが1年以内にユーロ圏を離脱する確率は19.3%と予想され、2012年6月の調査開始以来の最高水準となった。
投資家や多くの欧州諸国は、国民投票の否決により、イタリアがブレグジット、トランプ氏勝利に続く「第3のドミノ」となり、欧州の他の選挙へのドミノ現象が続くことを恐れている。
英国、イタリアに続き、オランダ、フランス、ドイツで、反ユーロ、反EU勢力が勝利すると、これまでの既成の枠組みが維持できなくなる。
巨額資金はどこに逃げるか。円や日本株は?
世界はカネ余りだ。イタリアから資金が流出している様に、欧州でドミノ現象が起きると、欧州から資金が流出する可能性が出てくる。ECBは量的緩和を止めることができないが、ECBが供給する資金は、欧州から出ていく資金の穴埋めにしかならない。どこに出ていくかが、今後の注目となる。
一方で、2012年10月以降に起きた「債券から株式への資金の大移動」が、米国でこの10月からまた起き始めた。前回は欧日のマイナス金利政策などもあり、再び債券が買われたが、もはや当局に利下げ余地はなく、米国は利上げ基調だ。
そのため、今後少なくともしばらくは、債券から株式への資金移動が続く可能性が高い。米金利が上昇基調だと、ドル円は上げ基調となる。
※円安(株高)はどこまで進む? 【著者】矢口新 – みんなの外為
また、日本株には独自の強力な買い手がいる。日銀と年金だ。そこに10月から既に始まっている様に、海外からの資金が流れ込むと、トレンドは右肩上がりとなる。
「第3のドミノ」が倒れるか、連鎖を止めるか、イタリアの国民投票は12月4日の日曜日に行われる。
本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2016年12月2日)
※太字はMONEY VOICE編集部による
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