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今の日経平均2万円とITバブルとの違いって?

日経平均が初めて2万円に乗せたのは1987年初頭だった。時価総額で上位は大手都銀と東電だった。いわゆる「経団連銘柄」または「01銘柄」(コードNOが01で終える銘柄)だった。

10日の20,006円で世間がバカ騒ぎした「15年前の2万円」はITバブルの大天井のことで主力は通信・IT関連だった。PER100倍、150倍の銘柄が沢山出て平均PERで65倍くらいだった。

それに比して、今回の2万円乗せはROE(つまりPERとPBR)で表現される企業価値を自ら高めた企業群が中心だし、PERも先進諸国並みの18倍内外だ。いわば国際水準だ。

今は指数先導型とは言っても初の2万円乗せの「日本の高揚感を買う」筋とは全く違うし、ITバブルのバカ騒ぎとも全くちがう。言ってみればマトモである。

ところで東証時価総額は600兆円を超え、筆者が気にしていた個人金融資産の現預金部分との比率60%を越え、89年の大バブル時の時価総額611兆円に概ね等しい水準まで届いた。W.バフェット氏の言う「時価総額÷GDP」比120%も既に届いている。ここから先は最も旨みのあるところかもしれないし、竿先の曲芸かもしれない。

ただ、先進諸国に比べて日本は長期的には出遅れたことは事実だ。日本は円高の正体を見抜けず円高デフレに苦しみ長い低迷期間が続いた。

2012年11月、政治が素人から玄人の手に移ると決まった時8,665円だった。そこから見れば日経平均は2年半で2.3倍だ。「2年半で2.3倍」というのは半世紀で5回(★註)しかなかった大相場だったと言えるが、株価指数を単純に海外先進国と比べれば、海外の株価が過去最高水準にあるのに日本は過去最高の50数%のレベルに届いたに過ぎない。日経平均は2000年4月のレベルに戻したが、NYダウは15年前の1.7倍である。

(★註)半世紀で5回、今6回目

1)1965年7月(1020円)~1970年4月(2534円)
4年半、2.5倍

2)1971年1月(1981円)~1973年1月(5359円)、
2年で2.7倍

3)1985年7月(12322円)~1987年10月(26640円)、
2.3年で2.2倍

4)1987年11月(21030円)~89年12月(38915円)、
2年で1.9倍

5)2003年3月(7607円)~2007年7月(18261円)
4年半で2.5倍

6)今回;2012年11月(8665円)~2015年4月(20100円)
3年半で2.3倍

(海外の株価が過去最高水準にあるのに日本は過去最高の50数%のレベルに届いたに過ぎない)。

甘利さんの言った「ミニバブル程度ならむしろ歓迎。ミニバブルなら制御可能」の「ミニバブル」は平成初年の大バブル(時価総額は概ねいまと同じ。日経平均は38,915円)を志向する安倍内閣のホンネの現れかもしれない。

山崎和邦 週報「投機の流儀」』(2015年4月26日号)より一部抜粋

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