今回だけ「景気後退」を認めないのは不自然
事務局が景気後退はなかったと言い張る根拠としては、第1に、ピークが確認できなかった指標がある(有効求人倍率)こと、第2に、一致指数の変化率がマイナス6%と小幅だったこと、などを挙げています。
しかし、これらは根拠になりません。
例えば、12年4月から11月までの景気後退期には、有効求人倍率のほか、生産もピークを打っていません。
そもそも、前にも紹介しましたように、有効求人倍率は、分母の求職者数が景気変動をそのまま反映するわけではありません。
高齢化で職がなくてもハローワークに行かない人が増え、失業保険受給資格が厳しくなったために、制度的に求職者が減っている面もあるからです。
つまり、有効求人倍率はもはや景気を説明する指標としては相応しくないのです。それを裏付ける事実として、前回後退期にもこの指標はピークをつけず、さらに生産までピークをつけなかったのに、景気後退と認定しています。
今回だけ、これを材料に認めないのは不自然です。
さらに、一致指数の低下幅が6%と小さいと言いますが、12年の後退期は5.8%の低下で認定されています。そもそも、経済の幅広い分野で、半年以上の間収縮が見られる場合に後退とするわけで、14年からの局面はこれに十分該当します。
安倍政権にとって都合が悪い
ところが、これを認めてしまうと、アベノミクスの期間中の半分近くが「景気後退」にあったということになり、経済優先の安倍政権には都合が悪いわけです。
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