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【理論株価】日経平均に“変調”発生、危うさ孕むドル高頼み(12/19)=日暮昭

当マガジンは日経平均の妥当な水準として統計的処理で求めた理論株価をもとに、足元の相場の位置づけを評価する材料を提供するものです。原則として日経平均と理論株価の位置関係を示すグラフと表に若干のコメントを合せて毎週1回配信いたします。皆様のより良い投資成果のための一助にして頂ければ幸いです。
※「理論株価」についてはこちらをご覧ください。(『投資の視点』日暮昭)

プロフィール:日暮昭(ひぐらしあきら)
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を用いた客観的な投資判断のための市場・銘柄分析を得意とする。

日経平均株価、12/16大引け時点の理論株価は1万8440円だが

上昇相場の継続は業績の後押しがなければ…

日経平均は12月12日に1万9,155円と昨年末の1万9,033円を超えました。16日には1万9,401円と値を伸ばし、この水準が維持されれば年間を通して陽線(年間で株価上昇)となりチャート的に先行き強気が優勢となる見方もあります。

一方で、日経平均は理論株価をベースとして計測される通常変動の上側を上回り、注意領域に足を踏み入れました。下図は8月から直近の12月16日までの日経平均、理論株価と合わせて通常変動の上側と下側の推移を示したグラフです。

日経平均、理論株価と通常変動の上側と下側
2016.8.1~2016.12.16

紺色の線が日経平均で青線が理論株価、赤色の線が通常変動の上側と下側を示します。11月9日のトランプ・ショックでは通常変動の下側に迫る急落を見せましたが、その後、ドル相場の高騰に押し上げられる形で理論株価が急回復、それに併せて通常変動の上側も急上昇しました。

ただ、日経平均はこれを上回るペースで上昇し、直近の12月16日には通常変動の上側、1万9,295円を100円ほど上回っています。

下図は日経平均、理論株価と併せて理論株価の決定要因である業績(日経平均ベースの予想EPS)と為替(米ドルレート)の推移を示したグラフです。

日経平均、理論株価と予想EPS、米ドルの推移
2015.8.1~2016.12.16

日経平均は紺色、理論株価は青色の線で左目盛で示します。緑線は予想EPSで赤線が米ドルを示しどちらも右目盛です。

図から、日経平均が12月に1万9,000円を超えた辺りで緑色の予想EPSを突き抜けていますが、これは相場の変調を表す現象と言えます。と言いますのは、ここしばらく日経平均は予想EPSと米ドルの間にはさまれた“サンドイッチ相場”で安定的に推移してきた構図が崩れたわけです。

過去の傾向から、今後、ドル高・円安によって業績が向上、緑線が上にシフトすることで日経平均が再びサンドイッチの中に収まるようになれば安定した力強い相場につながると期待できそうです。

逆に言うと、業績面の後押しがなければ相場はドル高の片輪に頼る突っ走りが続く危うさを抱えていると言えます。今後の業績見通しの動向が注目されます。

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投資の視点』(2016年12月19日号)より一部抜粋

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