「米中戦争」はすでに始まっている
スティーブン・バノンは、8月16日のビジネス・インサイダーで、このように言いました。
「われわれは、中国との経済戦争のただなかにいる。今は北朝鮮問題より、米中経済戦争に集中しなければならない。もし米国が中国との経済戦争に敗北した場合、米国の崩壊を決定づける“回復不能の変曲点”まで残されている時間は5年程度。どんなに遅くても10年以内に米国の崩壊はやってくる」
(※メルマガ第220号パート1、パート2「米・中・露を巻き込む暗号通貨戦争と金本位を基盤とした新通貨制度」にて詳述)
もちろん、中国側が北朝鮮に対する経済制裁に積極的でないのは、北朝鮮の崩壊によって、朝鮮半島が西側陣営に組み込まれることを危惧しているからです。これは、ロシアも同じです。
北朝鮮の核保有は、中国とロシアにとっては脅威とはなりません。
北朝鮮の生殺与奪のいっさいを握っているのは、将来も中国であることには変わりがなく、かつ、北朝鮮がロシアに敵対することがあるとすれば、たった2週間でISISを撃破したように、金王朝は間違いなく壊滅させられるからです。
外交による解決をあきらめるアメリカ
リカーズがアドバイスしてきた米情報機関は、北朝鮮の核開発が米国に及ぼす影響について、さらに明確な表現をしています。
「われわれ米国側は、北朝鮮を“突発的行動に出る国”として分類している」と。
私たちは、西側メディアの報道が常に後手後手に回って、彼らが実態を報じる頃は「時すでに遅し」であることを経験的に知っているはずです。
リカーズは、そのことについて、次のように指摘しています。
「通常、典型的な核開発の段階においては、初期段階で、すでに大方の開発が終っている事例を見てきた。その過程において、徐々に核開発計画を推進して注目を集めるようになると、いったんは計画を棚上げにして様子見するのである。しかし、国際世論がゆるんでくると、再び開発を続行するのが常なのだ。それが、彼らのパターンである」
「北朝鮮の場合は、こうまであからさまに見せつけているところを見ると、このパターンを無視して、いつでも“突発的行動に出る”べく身構えていると考えなければならない」
事実、金正恩は核開発を隠すどころか、果敢にプロパガンダを展開して世界に脅威を与えています。
北朝鮮の指導部は、確かに、米国が北朝鮮に本格的に攻撃を仕掛ける前に、ロサンゼルスなどの米国西海岸の都市を破壊する能力のある水爆を搭載できる大陸間弾道ミサイル(ICBM)の完成を急いでいます。
米国は、北朝鮮問題の外交による解決の道を諦めて、具体的行動を起す準備に取りかかってています。少なくとも、ジム・リカーズは、そう見ているのです。