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「女性に嫌われる男性上司の5か条」に気づいた、リクルートの凄い経営術

今回は書籍『リクルートの女性力 会社の「空気」は女で決まる!』(朝日新聞出版)を紹介します。リクルートの凄さの一端を知ることができる良書です。(『投資コンフィデンシャル・レポート』)

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リクルートはなぜすごい? 女性力と行動力の大切さがわかる良書

『リクルートの女性力 会社の「空気」は女で決まる!』 著:福西七重/刊:朝日新聞出版

リクルートの女性力 会社の「空気」は女で決まる!
著:福西七重/刊:朝日新聞出版

私が読んで気になった箇所まとめ

この本の著者の福西さんは、リクルート社内報「かもめ」の元編集長。長年、創業者の江副さんと一緒に仕事をした女性です。下記、要旨になります。

昔からリクルートにとっても、女性はすさまじいポテンシャルを秘めた「宝の山」だった。

これは忘れてならない事実。

創業したてのリクルートは、ブランド力、資金力、人的資源、どれをとっても企業としての体力はまだまだひ弱な会社だった。

だからこそ、創業者の江副浩正さんは、実力があるのに一般企業に入れない「女性という眠れる資源」を最大限に活用しようとした。

江副さんは人材こそ会社の一番の財産であると確信していた。「採用にはカネと時間を徹底的にかける」これが決して揺るがない方針だった。

会社の空気とは、会社のマインド。働くことへの熱意、ロイヤリティ、連帯感。

26年間、リクルート社内報「月刊かもめ」の編集長を務めた私は、スター社員も、縁の下の力持ち社員も、どんな営業部員もやる気にさせてしまう。庶務のアルバイトも、つぶさに見てきた。

新人も経営トップも会社の情報を共有せよ

1971年に誕生した「かもめ」創刊号のなかで、江副さんは3つの編集方針を書いた。

1. 経営方針を社員に伝達する
2. 社員同士の横のコミュニケーションを高める
3. 社員の学習の場とする

創業当時、携帯電話も電子メールもない時代、オフィスで留守を預かる友野さんのもとには、クライアントからの電話がひっきりなしにかかってきた。彼女は、取引先全員の名前を暗記した。

大学を出たばかりの青年がはじめたベンチャー企業であったが、電話をかけると受け答えが実に感じがよく、会社に大貢献した。

この伝説を聞いて、私は社内一の情報通になるという「機会」を創りだし、1000人以上の社員データを丸暗記した。

女性アシスタントが、「モチベーションの鍵」である。庶務・営業事務といった後方支援部隊こそ、会社の空気をつくり出す源。社員をよく見ている彼女たちを第二の管理職とすれば、組織とマネジメントが変わる。

女性の「わかってほしい感」を満たす。「がんばっている姿を理解して欲しい」と願う女性の特性を知り、ほめることはすべてのマネージャーにとって重要。

ほめることこそ、社員のモチベーションを高める最も有効な手段」これが江副さんの哲学であり、動機付けがとても上手な人だった。

リクルートに資産が何もなかったころには、「人間が財産。あとは紙と鉛筆があれば仕事はできる」と言っていたほど。

日頃から「あなたががんばっていることは、ちゃんとわかっているよ」というサインを出すことは、とくに女性に対して大切。

ありがとう」という感謝の言葉はもちろん、誕生日にプレゼントをさりげなく手渡す、食事やお酒をごちそうするという行為で、営業部員は庶務を「大切にしている、感謝しているというサイン」を日々出している。

女性は「私を見て」という意識が男性より強い

苦労の末、平尾さんが導き出した「女性に嫌われる男性上司の5か条」。
このうち1つでもあてはまったら、女性はついてこない。

1. きたない
2. せこい
3. 弱い
4. 面白くない
5. かわいくない

女性は明確な目標と大量の仕事で成長する

女性は相手の地位や年齢にかかわらず、人間としてものが言える

「ムダなこと」を沢山するから力がつく。リクルートでは新人に「過剰なほど大量の仕事」をさせる。ときには手におえなさそうな大きな案件も任せられる。そこから責任感や当事者意識が生まれる

リクルートの80年代は、徹夜も厭わず、真面目で緻密な「コツコツ営業」。

90年代、新規事業開拓された新たな分野に、ひるまず飛び込む「特攻隊営業」。

21世紀に入ると、アイデアと知恵で勝負する「コンサル営業」が登場する。

「戦線離脱」がビジネスヒントとなる。『赤ちゃんのためにすぐ使う本』の創刊アイデアは、育児休暇のジレンマから誕生。出産に限らず、病気や介護のための小休止は、何かが見つかるチャンス

人材輩出は、会社の最高のブランディングとなる。優秀な人材が転職・起業・独立するのは、会社の持ち味が別の場所で生きるということ。会社に「スター誕生」を応援する空気があれば、企業イメージはアップし、「卒業生」の人脈は貴重な財産となる。独立した人は、辞めても会社との縁をつなげることが大切。

フェイス・ツー・フェイスでコミュニケーションすることによって、幅広い情報を集め、その中から新しいアイデアを生み出すのがリクルートの伝統だ。

のちに東京ガールズコレクションプロデューサーとなる永谷さんの「かもめ人物紹介」は面白い。

「昨年1995年4月入社。仕事もビックだが日常生活もビック。お昼は必ず『大盛り』『おかわり』。昨年末のできごと。駅に着き切符を買おうとした。が、財布に100円しかない。営業先に引き返し、『社長、お金貸してください』『これもついでに持って行きなさい』と社長はお歳暮にもらった缶詰までおみやげにくれたそうだ」

大塚さんがリクルートで得たものは、次の3つ。

1. ニーズを把握して商品に落とし込む能力
2. 商品の価値設計や財務計画を立て、管理する「経営的視点」
3. 筋トレのような泥臭い営業で鍛えた「足腰の強さ」と「フットワーク」

リクルートの凄さの一端を知ることができる1冊です。あらためて、そのバイタリティの面白さに気付かされます。

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投資コンフィデンシャル・レポート』(2017年9月4日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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元商社マン出身、現在金融情報マンの筆者が、独自の情報源を駆使した極秘情報を送ります。内容は、株式、投資信託、FX、商品、債券、政治経済、金融、国際情勢などになります。投資セミナーの情報もお伝えします。

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