28日解散は「理にかなった戦略」
森友、加計問題に防衛省と稲田防衛大臣問題、さらには7月の都議会選挙大敗など失態続きで支持率が急落したことで、自民党内での「安倍一強体制」は予想外に早く崩れてしまった。
それによって、安倍総理は8月の内閣改造で思い通りの組閣をすることができなくなっただけでなく、必ずしも意向通りの顔ぶれでない内閣を「結果本位の仕事人内閣」と命名せざるを得なくなった。
安倍総理にとって唯一の救いは、「結果本位の仕事人内閣」の誕生が国会閉会中の8月3日であり、これまで国会で「結果」を出す機会がなかったことだ。しかし、9月28日には臨時国会が召集され、「結果本位の仕事人内閣」が「結果」を出す機会が訪れることになっている。
ここでもし、不本意な「結果本位の仕事人内閣」が、臨時国会で失いかけていた安定感を発揮し支持率が回復してしまったら、自民党内で「安倍一強体制」を取り戻すことは一段と難しくなるはずである。
自民党内での「安倍一強体制」を取り戻すために、28日の臨時国会冒頭で解散し、「結果本位の仕事人内閣」に国会で活躍する場を与えないのは、安倍総理が自民党内で「安倍一強体制」を取り戻すことを目指しているとしたら、理にかなった戦略だと言える。
失うものが少ない戦い
与党が野党に勝利することが確実視されている総選挙の焦点は、勝敗そのものではなく、自民党の議席減がどの程度になるかになっている。
自民党が勝利するのと同じくらい、自民党が議席を減らすことが確実視されている中では、自民党は議席減を最小限に抑えることに注力するはずで、選挙戦で表立った安倍批判は封印されるはずである。
安倍批判が封印されるなかで勝利を得れば、安倍総理の実績が評価されたと解釈することも可能で、「安倍一強体制」を取り戻すうえでの第一歩となる求心力を回復させることはほぼ確実である。
つまり、このタイミングでの解散総選挙は、安倍総理にとって失うものが少ない戦いになるはずである。