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現役40代を“戦場”に放り出す「確定拠出年金」の残酷なメッセージ=持田太市

いま40代の人たちが、最も厳しい「年金の現実」に直面する

こういう想定をした場合、厳しいと思われるのは現在40代の方々になってくると思います。

これまで老後のための貯蓄・自分年金がなく、これから始めるとしたら、残された期間は20年を切っています。

つまりこれから作っていくとしても、月々の積立額を10万円以上に設定していかなければなりません。まだまだ子供にお金がかかる人もいらっしゃると思いますので、これは容易ではないはずです。

とはいえ「やらない」という選択肢はありません。iDecoであろうと年金保険だろうと、ともかく老後のための年金作りを開始しなければならないというのは、将来の自分や家族を守る意味でも絶対必要です。

国が守ってくれるとか、制度破綻はさすがに無いでしょう、という考えでで何もしないと、後で梯子を外されたときに困ります。

国や企業に頼るということが、結構大きなリスクになってきているというのは、日本の今の財政問題を見つめれば、誰しもが思うところでしょう。

もう一つの抜本的制度の変更があるとすれば、それはまさに今の確定拠出年金への移行になるのではないかと推測されます。つまり、自分の老後のための年金は、自分で貯めた分だけ支給される、というものです。

これだと、将来世代へのつけ云々という問題はなくなり、自己責任という話になります。アリとキリギリスの寓話ではないですが、遊んでいたキリギリスは冬になったら死んでしまいます。自己責任という言葉は、思いのほか重たいのです。

機関銃の打ち方を習わずに、戦場に放り出される

あと、先にお伝えした(2)の企業年金制度の維持が困難という点について補足しておきます。

企業年金は従業員に対して支給する年金額が確定していますので、企業は従業員に対して「債務(支払う義務)」を持っていることになります。

年金額が確定しているため、企業自身でちゃんと積み立てをしないといけないし、しかもそれを運用して増やさなければならない。

しかし運用は簡単ではなく、下手すればマイナスになります。なので運用リスクはもう勘弁してください、ということで、そのリスクを従業員に渡すことにしました、という話です。

年金運用が難しいとわかっている中で、さらに投資もしたことがない多くの日本全国民に対して、運用リスクを課す制度がiDeCoとなります。機関銃の打ち方を習わずに、戦場に放り出されるようなものでしょう。制度メリットに焦点を当てて、やらなきゃ損!というような風潮はとても危険に感じます。

ただでさえ損をするのが嫌、という日本人の性格なので、勧めるとしても最低限リスクの話をセットですべきかと思います。

Next: 確定拠出年金で、極力、運用リスクをとらない方法とは?

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