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高値注意領域の日経平均は業績上振れと理論株価上昇を織り込む流れ(1/9)=日暮昭

当マガジンは日経平均の妥当な水準として統計的処理で求めた理論株価をもとに、足元の相場の位置づけを評価する材料を提供するものです。原則として日経平均と理論株価の位置関係を示すグラフと表に若干のコメントを合せて毎週1回配信いたします。皆様のより良い投資成果のための一助にして頂ければ幸いです。
※「理論株価」についてはこちらをご覧ください。(『投資の視点』日暮昭)

プロフィール:日暮昭(ひぐらしあきら)
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を用いた客観的な投資判断のための市場・銘柄分析を得意とする。

1/6時点の理論株価は1万8264円、業績上振れを織り込む流れに

2016年日経平均と理論株価の対比

今回は本年の1回目ということで、昨2016年の日経平均の動きを理論株価との対比で追い、今年の相場の見方のスタート台作りにしたいと思います。

下図は2016年初から直近の2017年1月6日までの日経平均と理論株価そして日経平均の通常変動の範囲を決める上側と下側を示したグラフです。

日経平均、理論株価と通常変動の上側と下側
─2016.1.4~2017.1.6─

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紺色が日経平均青色が理論株価赤色が日経平均の通常変動の上側と下側を示します。日経平均は2016年初の1万8,500円程度から直近の1万9,500円程度まで、1年間でほぼ1,000円の上昇となりました。一方、理論株価は1万8,800円でスタートし5月初めに1万6,400円まで下げた後横ばいから回復を続け、直近時は昨年初をやや下回る1万8,300円程度となっています。

このように比較的おとなしい理論株価の動きに対して、日経平均は波乱が続きました。特に2月12日の中国経済の減速懸念を主因とした急落、6月24日の英国のEU離脱ショックによる急落では、相場反転の注意領域に入る通常変動の下側を下回りました。いずれの場合も直後に反転して通常変動に戻っており、いずれもファンダメンタルの変調ではなく一時的な市場の過剰反応であったことが分かります。

こうした波乱模様は8月半ばから落ち着き、日経平均は本来の水準と言える理論株価に回帰、以降は理論株価に寄り添うように推移しています。11月の米国大統領選挙におけるトランプ候補の勝利による急落も(ドル急落による)理論株価の急落に沿ったものです。

その後の上昇局面では日経平均は理論株価を上回る速度で上昇し、本年初には通常変動の上側を上回り、高値の注意領域に足を踏み入れてきました。

この急上昇の背景には、堅調に推移しつつ今後の改善が見込まれる業績があります。現状、企業の想定ドル相場が100円から105円程度が中心であり、今後、足元の115円程度の水準が続くとすると10%程度の為替差益につながり、今期業績が上振れする可能性が強いです。

そうなれば理論株価が上昇することで日経平均は通常変動の上側を下回り通常変動の範囲に戻ることになります。

仮に業績(日経平均ベースの予想EPS)が10%増加すると、理論株価は1,000円程度上昇することになります。すなわち、日経平均は1万9,200円ほどになり理論株価とほぼ同水準になります。市場はこの程度の業績アップを既に織り込んで相場形成が成されているとも言えそうです。

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投資の視点』(2017年1月8日号)より一部抜粋

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