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第二次朝鮮戦争を引き起こす、中国「人民元建て原油先物取引」の衝撃=高島康司

今回は中国での「人民元建て原油先物取引」の開始が、米国の北朝鮮攻撃を必然化させる理由について解説する。これは同時に、米国の凋落を加速させる事態でもある。(『未来を見る!ヤスの備忘録連動メルマガ』高島康司)

※本記事は、未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 2017年9月22日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

「アメリカ覇権の終わりの始まり」2017年末の上海市場に要注目

トランプが北朝鮮を攻撃するしかない本当の理由

9月20日、トランプ大統領は国連総会で演説し、「自分や同盟諸国を防衛するしかない状況になれば、我々は北朝鮮を完全に破壊するしか選択の余地はない」と発言した。これは、武力行使もアメリカは辞さないとする決意として受け取られ、新たな朝鮮戦争の勃発を予感させた。

アメリカが北朝鮮の攻撃に踏み切るかどうかは、実はいま進行しているある状況と密接に結び付いている。それは、人民元による原油先物取引の開始だ。

これはアメリカの覇権の本格的な凋落を加速させる事態である。実はそれが、アメリカが北朝鮮攻撃に実際に踏み切るかどうかのカギを握っている。これがどういうことなのか、世界情勢の全体的な文脈から読み解くことにする。

人民元建て原油先物市場とは?

早ければ年末にも、上海と香港の外為市場で、金兌換が可能な人民元建ての原油先物取引が始まる見込みだ。

上海先物市場と、その子会社である上海国際エネルギー取引所は先月、人民元で決済可能な原油先物市場の実証実験をすでに完了している。さらにこれと平行して、香港株式市場では人民元で兌換可能な金の先物が販売されることになる。

現在、原油価格の国際的な基準を決定しているのは、ブレント価格WT価格である。これはすべて米ドル建てだ。一方中国は、世界最大の原油の輸入国である。そのため人民元建て先物取引原油価格は、アジア地域では最も重要な原油の基準となることは間違いない。将来これが、原油全体の価格を決定する可能性もある。その余波は計り知れない。

まず、人民元建ての原油先物取引が可能になると、アメリカの経済制裁下にあるロシアイラン、さらに反米のベネズエラや、イランとの関係の強い原油輸出国は、人民元建てで世界最大の中国市場に向けて原油輸出が可能となる。

さらに、中国から人民元で受け取った輸出代金は、上海や香港の市場で金地金で受け取ることもできる。この結果、ドルの使用を回避したい国々は人民元決済を選択することで、ドルベースの金融システムに依存する必要性もなくなる

これがアメリカの覇権に与える影響は計り知れない。これからは、国際秩序の基本的な形成者の位置に中国が就く可能性が高くなることは間違いない。

Next: 気づかぬは日本のみ? 確実に進んでいるアメリカ覇権の凋落

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