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トランプ様の「潰すは恥だが役に立つ」劇場。反落からの大相場に備えよ=藤井まり子

レーガンもブッシュジュニアも大不況期に登場した

そもそも、レーガン大統領ブッシュジュニア大統領が大不況期に大規模減税や規制緩和を引っ提げて登場したように、減税大好きな共和党の新政権は、不況期にこそ威力を発揮できるんですね。規制緩和や大型減税などなど、いかにも共和党らしい経済政策を断行しやすいのです。

直近では、ブッシュ・ジュニア大統領が2000年に就任、その直後、グリーンスパンFRB議長が政策金利をがんがん引き上げ続けて、2001年にはITバブルが崩壊。アメリカは大不況に突入しています。そして、ブッシュの減税法案が議会を通過したわけです。

ブッシュジュニアは、就任後、ITバブルがはじけてアメリカ経済が大不況に突入した後に、「向こう10年間、1兆7,000億ドルの大型減税」と「イラク戦争という名の大型の積極財政」へと転じ、共和党の本領を発揮しました(ちなみに、このブッシュジュニアの大型減税「案」は、その後議会審議で、1兆300億ドルまで縮小されています。不況期のブッシュ減税でも、およそ1兆ドルだったのです、トランプ次期政権の「好況期の大型減税案:4~6兆ドル」がいかに大風呂敷であるかは、簡単にご理解いただけると思います)。

とはいえトラ様は、ブッシュジュニアと違って、今回は戦争ではなく国内のインフラ投資にお金を使うと言っているので、ブッシュジュニアよりは「まともな人」でしょう。

2017年の世界およびアメリカ経済は、(年半ばあたりに?)1回は地獄を見ないと、アメリカ議会は大規模減税や大規模インフラ投資といった大型の景気刺激策を承認できないのでしょう。

もちろん、議会で大型の景気刺激策が承認される頃には、アメリカ経済は不況になっていて、イエレンFRBとトラ様の間では「すり合わせ」が完了、イエレンFRBは、トラ様に足並みをそろえて、しぶしぶ金融緩和策へと大転換することでしょう。

秋には日米独で協調的な財政出動へ

かくして、すでに述べたように、安部自民党政権も「世界および日本の株式市場が一回は地獄を見ないと、ヘリコプターマネー(金利コストゼロの景気刺激的な大型の財政政策)」を出動できないのです。メルケルも世界同時不況が起きれば、今度こそ、ポピュリズムに迎合して、大型減税を行なうことでしょう。

アメリカ株も日本株も下げそうでなかなか下げないのは、こういった事情を「先の先」まで読んでいる投資家が、ぼちぼち出現しているせいなのでしょうか?

トランプ会見(1/11)の本当のポイントとは?

ロシア疑惑(ロシア諜報活動スキャンダル)」の渦中にあるトラ様。この日のトラ様は、大規模減税や大規模インフラ投などの景気刺激策について、さらには銀行への「規制緩和策」についても、全く言及しませんでした。

ここまで言えば、もうおわかりでしょう。トラ様は、確信犯的に「あえて財政刺激策や規制緩和策に言及しなかった」のではないでしょうか。一旦は、アメリカの株式ブームを萎ませるために…。マーケットが喜びそうな、景気刺激策には確信犯的に言及しなかったのです。

その代わりに、トラ様は「国内の雇用を増やす」と偏狭な愛国者らしい保護主義的な政策の数々に言及しました。こういった「保護主義的な発言」をマーケットは最も嫌います。こういった保護主義的な政策だけに言及して、日本もメキシコや中国と並んで名指しで批判されました。

たぶん、アメリカ株式市場も日本株式市場も、いったんは「調整局面の入り口」に入ったのではないでしょうか。それでも、アメリカ株式市場が萎まなければ、来週1月20日の大統領就任演説(一般教書)がとても注目されます。

トラ様は、この日の一般教書演説では、大型減税やインフラ投資などの財政刺激策については(確信犯的に)一旦はトーンダウンすることでしょう。なにせ「まずはぶっ壊したい」のですから…。

Next: もうすぐ、日本株の「絶好の買い場」がやってくる!

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