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いくらで人生逃げ切れる?超少子高齢化社会の「ハッピーリタイヤ」入門=俣野成敏

1. まずは現状を知る

最近、急に老後についての悲観的なニュースを多く見かけるようになりました。なぜ「老後」が話題に出ると、皆一様に暗い表情になるのでしょうか?

まずは、現状認識から始めることにしましょう。

【崩壊し始めた従来のシステム】

前述の書籍『ライフシフト』によると、これまでの人々の人生は、ほぼ例外なく「教育→仕事→引退」という3つのステージを描いてきたと言います。これこそ「昭和の勝ちパターン」です。

昭和の勝ちパターンとは、主に「高学歴、上場企業勤務、退職金、公的年金」の4つがセットになったものでした。

高学歴」とは、「良い大学に入れば、良い会社に入れる可能性が高かった」ということです。特に上場企業に勤務すれば、それが個人への信用力となって、マイホームローンなども簡単に通りました。

当時、多くのサラリーマンがマイホームを買い、値上がりしたら買い替えるといったことを繰り返して、財産を築きました。

その昔、日本経済が活況を呈していた頃、退職金とは一種の身代金的な役割を果たしていました。どういう意味かというと、会社は人材確保のために、給料の一部を退職金として積み立て運用を行い、当人が定年退職する際に返却していたのです。それは、長く勤めてもらうための撒き餌のようなものでした。

今では考えられないことですが、1960年代の日本の年間成長率は10%を超えていました。その後も年4~5%の成長率を維持していましたが、1990年代のバブル崩壊を機に、長い停滞期に入っています。

人口も、初めて統計を取った1920年(大正9年)の5596万人から、この100年ほどの間に2.3倍になりました。これらが今まで、日本のシステムを支えてきた土台です。それは、人口増による需要増と経済成長の賜物でした。

現在、日本の土地神話はすでに過去のものとなっています。場所によって、不動産は固定資産税と相続税がかかるだけの、資産を生まない負動産へと変わりつつあります。

また、退職金制度も、現在のゼロ金利のご時世では維持することができず、団体を解散するところが続出しています。

さらに、老後の給料ともいうべき公的年金も崩壊しかかっています。年金保険料を支払う人よりももらう人のほうが多ければ、当然、成り立つはずもありません。

目下、日本の経済成長率は低空飛行を続け、人口も昨年(2016年)の国勢調査で初めて減少に転じたことが総務省より発表されています。今、日本社会のあちこちで従来型システムの歪みが噴出しています。

Next: 数百万説から1億説まで。老後資金はいくらあれば足りるのか?

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