2.「長期投資」で複利の力を活用する
バフェット氏のバークシャーは、1965年から2015年の50年間で、資産を毎年約20%(19.2%)ずつ増やしてきました。(『バフェットからの手紙2015年度版』より)
この年率20%という成績は一見、地味に見えるかもしれません。
しかし、毎年のように資産を20%ずつ増やし続けると、次のように資産が変化してきます。
<年率20%ずつ毎年資産を増やし続けた場合>
3年後…1.72倍
5年後…2.48倍
10年後…6.19倍
15年後…15.40倍
20年後…38.33倍
30年後…237.37倍
40年後…1469.77倍
50年後…9100.43倍
計算間違いではないかと疑ってしまうぐらい、大きく資産が増えていきます。バフェットはこの「複利マジック」の威力を十分に生かすために、長期投資できる企業を好みます。
喜んで10年間株を持ち続ける気持ちがないのなら、たった10分間でも株を持とうなどと考えるべきですらない。
バフェットは最低でも10年間、株式を保有するつもりでなければ、そもそも買ってはいけないと説いています。同じような教えを説いている、次の発言も有名です。
たとえ10年間市場が閉鎖されるとしても構わないと思える企業だけを買いなさい。
バフェットは、最低でも10年は保有を継続しなければいけないと考えています。10年未満の投資では複利マジックが十分に機能しないためです。
年率20%のリターンで、3年後1.72倍、5年後2.48倍、10年後6.19倍に増えていくので、保有期間は長いに越したことはありません。
実際には、バフェットは本当に良いと考える企業については、100%買収を実施して、バークシャーの子会社にしています。
GEICO(ガイコ)という保険会社はバフェットの超お気に入りの企業です。バフェットが21歳の時に、尊敬するベンジャミン・グレアムが同社の会長を務めていたことから、同社に興味を持ちました。
当時、GEICO株を手持ち資産の4分の3を投資しました。1996年1月にはついにGEICOの全株式を購入して、バークシャーの傘下に置くことにしたのです。2010年にはなんとバフェット自ら、GEICOのテレビCMにも出演しています。
※GEICO Lizard Ballad with Warren Buffett – YouTube
(1:45頃からバフェット本人がロックシンガーに扮して、ガチで歌っています)
バフェットは10年どころか、もっと長い保有期間が理想だと発言しています。次の言葉はバフェットの名言の中でも代表的なものです。
株の理想の保有期間は“永遠”だ。
また、株式投資を結婚に例えて、次のような言葉も残しています。
カトリック教徒の結婚のように投資をしなさい。一生添い遂げるつもりで。
複利マジックで巨大な富を築くバフェットの投資手法に感心したAmazonのジェフ・ベゾスCEOは、バフェットに次のように質問しました。
「何でみんなあなたの投資戦略を真似ないんですか?」
その時にバフェットが次のように答えました。
ゆっくり金持ちになりたい人なんていないよ。
とても真実を突いた言葉です。
複利マジックで資産を10倍、100倍、1000倍と増やせることを理解していたとしても、多くの人は、そのかかる時間を我慢できません。戦略的な思考ができず、ついつい目先のチャンスに振り回されてしまうのです。