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神か悪魔か。ベーシックインカム時代の勝ち組と負け組、あなたはどっち?=田中徹郎

BI時代の不幸シナリオ~西暦2057年のどん底生活とは?

一方で逆にベーシックインカムをうまく活用できなかった場合のシナリオを考えてみよう。想定する世帯は先ほどと同じだ。

先ほどの例では、2人の娘への教育費をベーシックインカムの主な使途としたが、皆がこのように先見性をもってお金を使うわけではない。貯金や自己研鑽などにも使わず、キリギリスのように毎月の20万円をひたすら遊びやギャンブル、スマホの通信費などに消費してしまう人もいるだろう。そんな世帯の40年後を少し想像してみたい。

ベーシックインカムの受給が始まって以来、両親は定職に就くのをやめている。きっと根っからの怠け者なのだろう。仕事がない日、夫は朝からギャンブルだ。

パチンコ、競馬、競艇など賭け事には目がないし、まとまった収入があると、数年前に都心にできたカジノで散財して朝帰りだ。家では妻との口論が絶えず、妻はストレスから酒量が増えている。

4人家族で年240万円もあれば食うに困ることはないが、子供の教育費までお金は回せなかった。月に一度ベーシックインカムが支給される日は家族で贅沢をするが、クレジットカードの引き落とし日が過ぎると、預金通帳の残高はほとんどない――この40年間そんな暮らしをしてきた。

70歳を過ぎたいま、すでに年金は廃止されており、夫婦に支給される月10万円のベーシックインカムでは、アパートの家賃の支払いがやっとだ。いまでは近所のスーパーでパートの仕事をする妻の収入が頼りだが、その妻もここのところ体調が思わしくなく、いつまでパートを続けられるかわからない。

そんな両親を身近で見てきたせいか、娘たちも定職に就かず、あいかわらずコンビニのバイトやパートの仕事をしている。そのバイトですら最近ではAI化や無人化によって見つけることが難しくなってきたが、いまさら資格を取って定職につく気持ちもない。

一人住まいは家賃がきついので、いまだに2人とも両親と同居しているが、このままでは独立して生きていくことすら難しいだろう――

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