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トランプ新政権はドル高・ドル安のどちらを選ぶか?近づく波乱の2月=吉田繁治

株価と為替が大きく動くのは2月初旬

2013年以降の日本株は「円安→株高」「円高→株安」という動きをします。原因は、ヘッジファンドの売買が市場の70%を占め、その売買の70%がHFT(超高頻度取引:1秒に数千回)であり、そのプログラムには「円先物売り(円安)=日本株買い」「円先物買い(円高)=日本株売り」が組み込まれているからです。

次に注目すべきは、2月初旬の「一般教書予算案」です。選挙公約だった減税、公共事業、財政赤字がどの程度であり、通貨政策がどうなるか、明らかになります。2月初旬に、株価と通貨は大きく動くはずです。

トランプ政権内でドルの見解に矛盾

新大統領は、米国の輸出増加と輸入の減少のために「ドル高は行き過ぎ」と言い、財務長官に指名されるムニューチン氏(元ゴールドマンサックス)は「強いドルが必要」と相反するメッセージを出しています。

(注)自由貿易は、変動相場(米国のように貿易赤字ならドル安)により、赤字と黒字が調整される仕組みです。関税を課していないNAFTAや、これからの自由貿易圏のTPPを解消すれば、関税で国内の海外製品を高くするしかない

トランプ政権は、輸入製品を高くして、貿易で負けていたコストの高い国内生産を増やす方法をとります。外資は別にして、国内資本の工場が新設工場を作る可能性は少ないので、関税で米国の物価を上げるだけに終わるでしょう。小売業でナンバーワンのウォルマートの製品は、食品以外では90%以上が輸入でしょう。

ドルについての政権内の発言の矛盾は、口先介入の効果が計算されたものではない。財務長官が言うドル高が必要なのは、海外が米国債を買っても、為替差損を蒙らないためです。ドル安になると、米国債と米国株の保有では損をします。

財政と経常収支で赤字国の通貨が、世界の貿易に使われる国際通貨であるという根本的な部分での矛盾があるため、トランプ氏(ドル安)とムニューチ(ドル高)の矛盾が出るのです。

世界の株価と経済にとって肝心なのは、新政権がドル高かドル安政策かです。ここがまだ不明です。しかし2月の予算案からは読み取れるでしょう。予算案がトランプショックの第二弾になります。

(注)トランプ相場の第一幕は終わった感じです

選挙公約の「10年で$6兆の減税と$1兆の公共事業」からは、年間で「$7000億(80兆円)」財政赤字が増え、現在の赤字「$7582億(87兆円:2016年IMF予想)」と合わせて「$1.45兆(167兆円)」という巨大な国債発行になります。

こうなると、「ドル安と、金利上昇(国債価格の下落)」に向かうからです。

Next: 「大統領就任時の支持率40%」という危うさ。さらに下がるのは確実

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