「元祖ビットコインは今後サポートしない」
すでに仮想通貨事業者の中には、「オリジナルのビットコインは、今後サポートしない」と明言する業者も出てきました。
アトランタにあるビットコインATMを提供するCoinfucius(コインフューシャス)などは、「11月の潜在的分岐後に生じるアルトコインのB2Xを本流の”ビットコイン”とし、現在の1MBブロックのオリジナル・ビットコインはサポートしない」とツイッターで宣言しました。
B2Xは、元祖ビットコインから見れば、ビットコイン・キャッシュと同様、アルトコイン(代替通貨)になるわけですが、11月19日の分岐後は、こちらがビットコインの本流、つまり「本物のビットコインになる」とコインフューシャスは言っているのです。
大手ビットコイン取引所「BITFINEX」は、すでにB2Xの先物(11月19日が来たとき、その時点でのビットコイン保有者に自動的に付与されるB2Xの引換券のようなもの=トークン)を取り扱っています。
B2Xは、まだ影も形もないにもかかわらず、一時は30万円台まで上昇し、現在は1100ドル(約12万円)前後で推移しています。
元祖ビットコインに「事実上消滅」の恐れ
もちろん、元祖ビットコインの今までのハッシュレートが、新しく生成されるB2Xに移動されても、過去のトランザクション・データが消滅するわけではないので、B2Xの誕生によって、元祖ビットコイン、ビットコイン・キャッシュ、ビットコイン・ゴールドの3つが消えてしまうということではありません。
しかし、ほとんどのマイナーがB2Xに移ってしまうので、その分、ブロックの生成時間が余計にかかることになり、トランザクションが混み合ってくると、その履行にどれほどの時間がかかるのか不透明になってきます。
つまり、先々は、元祖ビットコインのユーザビリティが極端に劣ることにより、存在はしているものの、事実上の消滅状態となりかねないのです。
世界中のマイナーのほとんどが、ビットコイン4兄弟のメインチェーンがB2Xになると考えている以上、他の3兄弟は元祖ビットコインを筆頭に蛇の抜け殻状態となる可能性も出てくるわけで、最悪のケースでは、元祖ビットコインの価格が大暴落する蓋然性が非常に高くなるということなのです。
当初、ビットコインの発行限度数量は2100万コインと決められていたことから、その希少価値も相まってビットコイン信仰が生まれました。
しかし、ハードフォークを何度も繰り返すごとに、元祖ビットコインから派生した同数のアルトコインが付与されることによって、8月のハードフォーク以来、たった3ヵ月で最大2100万コイン×4=8400万コインが仮想通貨市場を徘徊することとなるのです。
「ビットコインは非中央集権型の暗号通貨であるがゆえに、どの政府も規制できず、国際銀行家の中央銀行システムへの挑戦になる」と多くの人が期待を寄せていただけに、10月、11月の二度にわたる分岐の結果は、多くのユーザーの落胆を誘い込むことになりそうです。