中央集権化が進む仮想通貨市場
9月に中国と韓国が、仮想通貨を使ったクラウド・ファンディング「ICO」を全面的に禁止し、さらに、中国がビットコインの取り扱いそのものを禁止する前まで、マイニングの7割が中国で行われていました。
中国のマイニング企業が、ビットコインを事実上、支配することになっていた時点で、ビットコインは中央集権化に移行しており、開発当初の理念は喪失してしまったのです。
まさに、「ビットコインをもっと独占したい、もっと主導権を握って自由に価格を操りたい」という群雄割拠の下剋上状態が現出していたのです。
ビットコインの開発者と言われている「サトシ・ナカモト」という匿名のグループは、当初、2100万コインの半分を保有していたと言われていますが、おそらく、その多くを売り払っているでしょう。
ビットコインの元開発者のひとり、マイク・ハーンは、「(仮想通貨の)実験は失敗だった」と表明し、所有していたビットコインをすべて処分してしまいました。
「日本vs.中国」主導権争いの陰で
代わって台頭してきたのがロシアで、この8月に国策としてビットコインのマイニングを行うと表明しました。
翌月には、日本のGMOインターネットが、北欧のある国にマイニング専用施設を建設し、早ければ2018年4月からビットコインのマイニング事業をスタートさせると発表しました。建物とコンピュータへの投資額は約100億円で、まさに社運をかけた挑戦です。
その他、SBIやマネックスなどの大手金融事業者、そして新興企業のDMMなども「中国一国主導のビットコイン・マイニングへの挑戦」とばかり、マイニング事業への参画を匂わせています。
中でも、SBIなどは、すでに電気代の安い北欧の国でマイニングをスタートしているとの情報も流れています。
しかし仮に、日本企業が中国勢に代わって、ビットコインの主導権争いを制したとしても、ビットコインの非中央集権の自由性を取り戻すことはできません。
イーサリアム、リップルをはじめとして、ほとんどのアルトコインが、明確な管理主体による中央集権によって秩序が維持されていることから、今後、理想に燃えていたコア開発者たちも、「中央集権型管理も、特に悪いということではない」と考え方を徐々に変えていくでしょう。