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本当と嘘とアベノミクス。この5年で日本経済はどれだけ成長したのか?=吉田繁治

世帯所得は増えたのか?

景気の実感は、他の何よりも世帯所得に現れます。世帯の所得が増えれば景気はいいとなり、横ばいやマイナスなら、景気は悪いと思われます。

物価上昇を含む、世帯の名目所得は以下です(厚労省:全世帯平均 ※主婦パート分の所得を含む)。

<平均世帯所得(指数)>

2006年:566万円(100)
2007年:556万円(98)
2008年:547万円(97)
2009年:548万円(97)
2010年:538万円(95)
2011年:548万円(97)
2012年:537万円(95)
2013年:528万円(93)
2014年:541万円(96)
2015年:548万円(97)

5000万世帯の平均所得は、ほとんど増えていませんむしろマイナスの傾向です。固定額の支給の、年金世帯の構成比が増えたためでもあります。平均的な世帯の名目所得が増えない中で、インフレ目標で物価が上がれば、生活は苦しくなって行きます。

2011年までの、物価が約1%下がるデフレのときは、名目所得は同じでも、商品価格が下がっていたため、買う商品の数量は増えていたのです。

所得階級別には以下になって、格差とも言われる低所得層が増えています

<世帯所得と構成比>

200万円以下:19.7%(生活保護に近い貧困)
200~ 400万円:25.9%(20代、30代世帯と年金世帯)
400~ 700万円:21.9%(40代、50代世帯)
700~ 1000万円:14.9%(中間管理職世帯)
1000~1500万円:8.4%(部長~役員世帯)
1500万円以上:4.1%(経営者、資産家世帯)

(注1:2000万円以上は1.3%)
(注2:所得に含む年金の支給額は、1世帯平均で211万円)
(注3:平均貯蓄額(預金)は、全世帯で1033万円)

世代別の貯蓄では、29歳以下154万円、30代404万円、40代652万円、50代1051万円、60代1339万円、70歳以上1263万円です。この貯蓄の主なものは預金であり、生命保険、年金基金、株、そして債券を含む金融資産とは異なっています。

世帯の平均所得は、548万円(2015年)です。アベノミスクでも増えていないので、景気の回復を感じている人は、株をもっていて、自分の所得が増えた上位20%くらいの世帯でしょう。米国や欧州でも、所得上位20%の世帯所得だけが増えています。

世帯所得の平均で、最低でも年3%(15万円/年)は増えないと、景気がいいという、国民の実感にはなりません。このためには、名目GDPで3%以上の成長が必要です。

Next: 「失業率が減れば好景気」の嘘。雇用から見る本当の景気動向

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