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理論株価に回帰か2万円回復か?日経平均のカギ握るドル円のメドは(2/6)=日暮昭

当マガジンは日経平均の妥当な水準として統計的処理で求めた理論株価をもとに、足元の相場の位置づけを評価する材料を提供するものです。原則として日経平均と理論株価の位置関係を示すグラフと表に若干のコメントを合せて毎週1回配信いたします。皆様のより良い投資成果のための一助にして頂ければ幸いです。
※「理論株価」についてはこちらをご覧ください。(『投資の視点』日暮昭)

プロフィール:日暮昭(ひぐらしあきら)
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を用いた客観的な投資判断のための市場・銘柄分析を得意とする。

2/3時点の理論株価は1万8274円、突破口は為替と業績上方修正

通常変動の上側の境界で惑う日経平均

日経平均は昨年11月9日のトランプ・ショックを経て、それまで一体で推移していた理論株価から上離れ12月初めに通常変動の上側にシフトアップしました。そこで上昇エネルギーを使い果たした形で、以降、この境界を抜け出すことはなく1月20日のトランプ大統領の就任まで境界に沿った動きを続けています。

しかし、新大統領就任後から相場は不安定化したように見えます。積極財政に対する期待が高い半面、リスクはさておき成長のみを目指す会社のトップのような大統領令の矢継ぎ早の発令に、世界の市場で不安が高まっているようです。特に1月27日の米国への入国制限の大統領令は世界に大きなショックを与えました。日経平均も翌日から下げています。

結果として1月20日以降、日経平均は通常変動の上側を挟んで大きく上下する状態が続いています。このように先行き不透明感が強い時は相場感の原点に戻りファンダメンタルを重視することがセオリーです。

下図は当講座でお馴染みとなりました日経平均、理論株価と通常変動の上側を示したグラフに、理論株価の決定要因である業績(日経平均ベースの予想EPS)と為替(米ドルレート)を併せ、昨年10月から直近の2月3日まで示したグラフです。予想EPSと米ドルレートは右側の目盛りになります。

日経平均、理論株価、通常変動の上側と業績、為替の推移
2016.10.3~2017.2.3

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紺色が日経平均、青線が理論株価、赤線が通常変動の上側を示します。新たに加えた米ドルレートは紫色、予想EPSは緑色の線です。トランプ・ショックの11月9日と大統領就任の1月20日は縦線で示しています。

新政権発足後、株価はいっとき通常変動の上側の境界を抜け出すかに見えましたが1月27日の入国禁止令を機に下落に転じています。ただ、直近の2月3日の日経平均は1万8,918円、通常変動の上側は1万9,192円で300円近い下方にあり、基本的には相場は安定領域にあると言えます。

一方、1月末から今3月期決算の業績見通しが相次いで発表されており、全体として上方修正が勝っているようです。その結果、日経平均ベースの予想EPS(緑線)は135円近辺で膠着していた状態から直近の2月3日には140円台に抜け出しました。

今後、業績の上方修正が続けば株式相場の底上げにつながります。前回の当講座で、為替と業績の見通しによるいくつかの日経平均の水準をシナリオ分析で紹介しました。それによると為替が現状の115円程度で予想EPSが150円まで高まれば日経平均は1万9,218円と通常変動の上側を上回ります。その段階で先行きの不透明感が薄れれば一段高の足場が固まり2万円も視野に入ることが考えられます。

為替が現状の115円程度を維持し、今期業績予想が140円から150円まで7%程度上積みされるかが一つのメドになりそうです。

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投資の視点』(2017年2月5日号)より一部抜粋

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