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「戦争前夜」の不気味な株高。割安を謳歌する東京株式市場の死角とは?=斎藤満

VIXに低下余地なく、株価・ドル円に天井感

まず、このVIXの数字が9を割り込んでどんどん低下する余地があればともかく、歴史的低水準ゆえに、ここからの低下余地があまりないとすると、株価・ドル円ともに天井感が出てきます。

実際、週明けにはVIXが9.40にやや上昇する中で、米国株は様子見となり、ドルも下げました。

その中で顕著な動きを見せているのがドル円です。ドル円レートを決めている要因として、これまで長期金利差、あるいは米国の長期金利が言われてきました(その前は2年国債の日米金利差でしたが)。

しかし、その金利とドル円の関係が崩れ始め、代わってVIXとドル円の相関性が意識されるようになっています。つまりVIXが低下するとドル円も買われ、円安になる状況です。

もともと金利差はインフレ格差の代弁でもあり、インフレ通貨が下落する面と高金利通貨が買われる面とがぶつかって実質金利差が意味をなすわけですが、市場は瞬時に実質金利を判断しにくいため、一時的に名目金利で動いてしまう傾向があります。しかし、インフレのない堅実な円よりもインフレ率の高い通貨を、金利だけを頼りに買い続けることもできません

強く意識されるVIXとドル円相場の関係

VIXと為替の関係では、リスク・オンの際に円をキャリー通貨として使ってリスク資産に投資し、リスク・オフになると投資を手じまって円を回収します。つまり、リスク・オンでVIXが低下するときに円安が進み、リスク・オフでVIXが上昇する際に円高となる関係が強まります。

そのため、リスクと円の関係は以前から見られましたが、最近は特にVIXとの連動性が意識されています。

米国10年国債金利がまた低下気味で、週明けには2.31%をつけるなど、ドルを買いにくくなっていますが、代わってVIXが先週末に9.14まで低下するのを見てドル円は週明けに114.5を超えて円安となり、市場には115円台は時間の問題との声も上がりました。

しかし、VIXの9.14という低さを考えると、さすがにそれ以上は突っ込めなくなります。

VIXが9を割り込むなら別ですが、低下余地が小さいとすれば、円安の余地も小さいことになります。案の定、VIXが週明けに9.4に上昇すると、ドル円は113円台後半に下落しました。

為替市場においてはVIXもファッション的な決定要素で、いつかはこれを無視する日が来るでしょうが、当面はVIXが大きな決定要因として見られ、その低さから見て、円安は進みにくくなったと見られます。

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