【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(4):◆一旦、値幅調整は終了か◆

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〇不安定な地合いも、底揉み展開に移行か〇

1ヵ月前のNYダウは22956.96ドル(10/16)、昨日の安値は23242.75ドル、1.2%高の水準まで下落した。昨日終値の日経平均の前月比は+4.13%なので、派手に下落した割に、直近パフォーマンスの優位さを保っていると思われる。日経平均先物は時間外取引で21800円台半ばまで下落した後、22000円を回復して戻って来た。22000円水準での抵抗感を示していると受け止められる。

最も弱かったのは欧州時間帯で、指標のSTOXX欧州600株指数は7営業日続落、9月20日以来、8週間ぶりの安値となった。ただ、1%超下落していたドイツ株は0.44%安まで戻して引けた。売られていたドイツ国債10年物利回りは一時0.36%(終値は0.38%)と一週間ぶり水準に戻した。今回の調整には、サウジ・マネーの換金売り圧力があると見られ、全容は不明ながら、欧州が売られ易いと思われる。ユーロが軟調から急騰したり、原油相場が崩れたり、不可思議な動きも見られるが、全般的なリスク回避に広がったと考えられる。昨日取り残された印象があるのは、インド株0.67%安、ロシア株1.79%安、ブラジル株2.27%安。新興国、新興銘柄にはリスク脆弱性がある。

本来なら、中東情勢の緊迫は地政学リスクとして、原油高に反応してもおかしくないが、今回のサウジ危機では反落(WTI相場では、バレル当たり先週6日の57.35ドル高値から昨日は一時55ドル割れ)し、エネルギー・資源関連株の急落を招いている。これは、サウジで発生した200人以上の富裕層拘束(と言っても、高級ホテルに軟禁されているだけの様だが)、資産凍結、不正資金回収の動きが影響していると思われる(リヤド商工会議所の話として、総額8000億ドル、約91兆円規模とされる)。

不正と言うからには、厳格な欧州は詳細な証拠を求める。過去にエジプトやチュニジアが不正資金回収に難航した。サウジ司法長官は「大量の証拠」が得られたとしているが、詳細は明らかになっていない。ユーラシア・グループの見解では、資産の本国返還が非常に困難となる可能性があるので、拘束した富裕層と取引(逮捕回避、資産合法化など)し、一部を国家に拠出させようとしているのではないか、との見方になる。換金売りの一時的な波と受け止められる。

ただし、根本的な問題はサウジとイランの対立激化にあると考えられる。イランはアサド政権を支援する格好で、事実上、シリアを支配圏に収めつつある。危機感を高めたサウジは、抗争続くイエメン・フーシ派を支援しているとして、レバノンのヒズボラ(イランとつながるシーア派組織)への対抗姿勢を強めている。レバノンはより複雑な多層構造で、大統領はキリスト教、首相はスンニ派で落ち着いていたが、首相を辞任させ、ヒズボラ対策を打つよう、経済制裁をチラつかせている。場合によっては、国交断絶の第二のカタールになる可能性がある。サウジの背後にはイスラエルがおり、トランプ政権はネタニヤフ政権に近く、共同でサウジをバックアップする(イランの核合意破棄意向)と見られている。

トランプ大統領のアジア歴訪帰国後の「重大発表」は、未だ伝わっていない。他にも不透明材料は目白押しなので、市場の不安定さは続くと見られるが、サウジ換金圧力は欧州市場や原油相場を睨みながら、当面の峠越えを測ることになると考えられる。


以上

出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/11/16号)

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