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人件費高騰というウソ。幸楽苑の「大量閉店」が象徴する日本の病=児島康孝

高級イメージが売りの成城に「日高屋」

東京世田谷区の成城学園前駅に近い場所に、以前は和食料理店(寿司など)がありました。イイ感じのお店で何回か行きましたが、そこは閉店に。そのあとにはベネッセが入りましたが、それも撤退に。そして、最終的に落ち着いたのが「日高屋」です。これもやはり、いわゆるデフレ業態です。

日高屋は、価格帯は幸楽苑に近いですが、いわゆる野菜たっぷりの定食型の食事が人気です。500円台から600円台で食事ができるとあって、連日にぎわっています。

日高屋には、ファミリーレストランでの食費がきつい層や、仕事帰りの1人客やグループ客が訪れています。つまり、ファミリーレストランで1000円前後のメニューが厳しい層や、他のレストランで1500円以上が厳しい層が大挙して訪れています。

以前は「ファミレス」がカジュアルだったのですが、デフレが長引くとともに、ファミレス業態は相対的に「高級化」してきているわけです。

日高屋は、それをうまく取り込んでいます。しかも、成城でも「日高屋でないとテナントとしてやっていけない」という状況です。

ミスタードーナツの「高級路線」失敗が意味するもの

また、成城で今回と同様の認識をもったのが、「ミスタードーナツの改装」でした。

成城の「ミスド」は以前、改装して高価格メニューに転換したのですが、思うように来店客がなかったようです。それで現在は、以前とほぼ同じ価格帯のメニュー(低価格化)に戻りました。

これは「高価格には消費者がまったくついていけない」ということを示しています。

コンビニも飲食店の脅威に

さらに、コンビニのイートイン・コーナーが盛況です。

最近、併設型の店舗が増え、200円から300円ぐらいで食事を済ませる人も多くなっています。

また、最近よく見かけるのは、大きめのカップ麺でイートインする姿です。コンビニには給湯器がありますから、カップ麺であれば100円台の食事ということになります。

つまり、国民の所得は思うように増えておらず、コンビニで200円から300円ぐらいで食事をする人が増えているのです。

納得できる「幸楽苑」の大量閉店

こうしてみますと、今回の価格帯が400円台から500円台である幸楽苑の大量閉店も、納得できるものです。

以前は、デフレ業態で低価格であった幸楽苑が、さらなるデフレの進行によって、相対的に高価格化したということです。そうやって幸楽苑が競争力を失った姿が透けて見えます。

つまり、今回の大量閉店を招いたのは、デフレの激化による幸楽苑の相対的な「高価格化」であるということです。

Next: 個人消費低迷の影響は「サンマルクカフェ」にも

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