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北朝鮮は誰からミサイル技術を入手したのか?米国も恐れるパンドラの箱=日暮昭

「新たな道」を歩み出したミサイル開発企業関係者たちの行方

ミサイル開発の総本山だったユジマシは旧ソ連でも最重要国営企業だった。崩壊後もウクライナでは突出した存在で、その社長だったクチマは初代大統領フラフチュクの再選を阻止して第2代大統領に就き、ユジマシの幹部が続々とキエフの大統領府に乗り込んだ。クチマはこれまでで再選された唯一の大統領で、そのユジマシ時代からの側近や関係者たちは、その後ウクライナの代表的な新興財閥(オリガルヒ)や有力政治家に転身していった。しかし、こうした華麗な転身に成功した人々はひと握りだった。

軍事用タンクを数台積んで空を飛び、アメリカを仰天させた巨大航空輸送機で世界的に知られるアントノフにも悲劇が襲ったが、立ち至らなくなった軍事部門を離れた幹部が苦し紛れに起業した従業員やその家族向け生活物資供給部門が、ウクライナ最大の砂糖会社に生まれ変わるという瓢箪から駒もあった。

一方、アントノフ本体では、幹部がウクライナ東部関係者で固められていたため、ユーシェンコやポロシェンコのような反露派が政権を握ると、直ちに政変の論功行賞として防衛産業のイロハもわからぬ者をトップに挿げ替えた。社内は混乱状態に陥り、人材は世界に職を求めて離散した。同じことが同業他社でも相次いだ。

技術者の多くはロシア、アメリカへ。だが一部は――

ロシアへの流出が一番多かった。ロシアは宇宙航空機武器産業のウクライナ依存を限りなくゼロにする必要に迫られていた。ただ、全部が全部ロシアに受け入れられるはずはなかった。

技術者はアメリカにも向かったと考えられる。連邦崩壊以降、大学間の連携や研究者交流は進んだ。こうした交流に惜しげもなく金をつぎ込むアメリカのNPOは少なくないし、その動きを支えるアメリカの軍産複合体の支援は公式非公式に多岐多様に存在する。

日本にもICBMの軌道計算を専門にしていた航空大学出のエリートが中小ソフト企業にSEとして出稼ぎに来ていた。高度先端技術開発を担っていた超エリートが日本の片隅でこんな仕事で食いつないでいるのかと驚かされたものだ。

薄く広く世界に散っていった中に、北朝鮮に向かった人材がいたとしても不思議はなかった。世界が、ウクライナ危機をまじめに振り返り、対応を見直す時が来ている。

ブラックマーケットとのつながりとも改めて向き合わなければならない。知らなかった方が良かったということもあろうが、大きな謎もないにこしたことはない。後続情報が待たれるゆえんである。

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※本記事は有料メルマガ『資産運用のブティック街』2017年11月21日号を一部抜粋・再構成したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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・国際投資環境の視点から:北朝鮮ミサイル開発の謎(11/21)
・チャートの先生実地指南:下ひげ線(その4)首吊り足はどこで売る?(11/14)
・F.マネージャーの視点/銘柄選定とその背景:EVテーマ相場と銘柄発掘(11/9)
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資産運用のブティック街』(2017年11月21日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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