当マガジンは日経平均の妥当な水準として統計的処理で求めた理論株価をもとに、足元の相場の位置づけを評価する材料を提供するものです。原則として日経平均と理論株価の位置関係を示すグラフと表に若干のコメントを合せて毎週1回配信いたします。皆様のより良い投資成果のための一助にして頂ければ幸いです。
※「理論株価」についてはこちらをご覧ください。(『投資の視点』日暮昭)
プロフィール:日暮昭(ひぐらしあきら)
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を用いた客観的な投資判断のための市場・銘柄分析を得意とする。
2/17時点の理論株価は1万8374円、変動上限を行きつ戻りつ上昇か
業績上方修正の流れが変調も相場は三寒四温で暖まる
トランプ大統領就任から1カ月間、日経平均は不安定な動きを続けています。日経平均そのものの変動もさることながら、それまで通常変動の上側、すなわちファンダメンタルから見て高値警戒領域に入る寸前で安定していた日経平均がこの境界とのかい離を拡げています。
下図は先週ご紹介した日経平均、理論株価、通常変動の上側に日経平均ベースの予想EPSと米ドルレートの推移を合わせたグラフを直近の2月17日まで延長したものです。
日経平均、理論株価、通常変動の上側と業績、為替の推移
2016.10.3~2017.2.17
図から、先週との対比で緑線の日経平均ベースの予想EPSが急低下している点が目立ちます。2月に入ってからの急上昇によって2月10日時点で144円台に達した予想EPSが直近の17日には140円台まで低下しています。
これに伴って日経平均、理論株価とも下落しますが日経平均の下げ幅が小さかったためかい離率は上昇しました。
下図はかい離率と通常変動の上側、変動範囲の上限を示すグラフです。
かい離率の推移と通常変動の上側、変動範囲の上限
2016.10.3~2017.2.17
2月9日に2%台にまで低下したかい離率は17日に4%台後半まで上昇、結果的に日経平均は再び通常変動の上側(5.08%)に接近しています。
相場は結局、理論株価(ファンダメンタル)を超えて上値を目指すエネルギーを内在しつつも当面は通常変動の上側に沿った動きがメインになることを示唆しているように見えます。
そうであれば、業績の上方修正の変調が一時のアヤで先行き底堅い上昇を辿るならば相場は通常変動の上側に合わせて上昇することになります。
今後、業績見通しが一本調子で進むことはなくても相場は当面のメドである通常変動の上側である1万9,300円を行きつ戻りつしながら三寒四温で暖まっていく可能性が強そうです。
『投資の視点』(2017年2月19日号)より一部抜粋
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