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三菱マテリアルの株価下落はチャンスなのか? 不正自体は軽微だが…=栫井駿介

神戸製鋼・日産自動車・SUBARU・東レと、日本企業の品質にかかわる不正があとを絶ちません。三菱マテリアルもその1社です。一方で、問題が軽微だとすれば、リバウンドを狙える可能性もあります。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

問題そのものは軽微でも…バリュー投資家はこの下落をどう見る?

不祥事で株価は10%下落

昨今、日本の製造業では品質に疑問符が付く不祥事が続いています。三菱マテリアル<5711>もその1社です。同社の子会社は検査データを改ざんし、合格基準に満たない製品を適合品として出荷していました。

11月23日における問題発覚を受けて、株価は約10%下落しています。問題が深刻でなければ、不祥事による株価下落は投資のチャンスとなる可能性があります。三菱マテリアルの株価下落はチャンスでしょうか。

三菱マテリアル<5711> 日足(SBI証券提供)

三菱マテリアル<5711> 日足(SBI証券提供)

三菱グループ「非鉄金属」の寄り合い所帯

三菱マテリアルは「非鉄金属」と呼ばれる製品を供給する三菱グループの中核をなす企業です。具体的な製品は、セメント・銅・アルミや、それらを加工してできる超硬製品・電子材料などです。

出典:個人投資家向け会社説明資料

出典:個人投資家向け会社説明資料

いずれの製品も、物を作るのになくてはならないものです。三菱グループをはじめとする国内の多数の企業に製品を出荷し、業界のなかでトップグループに属します。三菱という強力な看板を背負っており、国内では常に一定の需要が見込める企業と言えます。

一方で、「三菱マテリアルと言えばこの製品」のような代表格がないのも事実です。会社の成り立ち自体が様々な事業を寄せ集めたものであり、「各事業部がそれぞれの製品を作っている」という印象で、会社としてのまとまりに欠ける印象があります。

【関連】不正蔓延で株価急落、堕落した神戸製鋼に「明るい未来」はあるのか?=栫井駿介

今回不祥事が起きたのも、そのような会社体制とは無縁ではないと考えます。会社のトップ層が各事業へ関与度合いを薄めるほど、現場ではモラルハザードが働きやすくなります。先の神戸製鋼も、各事業部がバラバラな状態が蔓延していたと言われています。

Next: 問題そのものは深刻ではないが「買ってはいけない」

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