「たくさん稼いでいる人からたくさん取ろう」という風潮
高齢化で社会保障費が増え続ける日本は、「もっと税収を増やさないといけない」ということを国民のほとんどは理解しています。
だた、企業の国際競争力を落とさないために法人税は引き下げないといけないし、消費税を増税するので、それによって負担感を感じる低所得者層に対して所得税率を上げるわけにもいきません。
結果、いちばん取りやすい高所得者層の負担がどんどん増えてしまっています。
まさに、「取れるところから取る」という言葉がふさわしいですね。高所得者への所得増税以外にも相続税もたばこ税もそんな印象です。
高所得者や富裕層向けの課税強化は、政策として国民のウケも悪くない印象があります。「たくさん稼いでいる人やたくさん持っている人からたくさん取ればいい」という風潮があるようにも感じます。政府税調の議員さんも、「高所得者からたくさんとって社会保障に充てる」と言えば、これでもう反対は出ません。
高所得者は静かに受け入れ、そしていなくなる?
また、高所得者側からの反発もそれほどありません。高額所得者が集まってデモをするとか見たことないですからね。ただ黙々と受け入れています。
しかし、あまり高所得者ばかりに負担が行き過ぎるのもどうなんでしょう。高額所得者のみなさんって、お医者さんとか経営者とか、大企業の部長さんとかだと思いますが、努力して、リスクも取って、頑張って働いて、所得が増えたら増税ですよ。
これが行き過ぎてしまうと、高所得者とか富裕層は日本からいなくなってしまうかもしれません。また、若い人たちが、これから頑張って働いて、リスクも取って収入を増やそうという、前向きなモチベーションが下がってしまうかもしれません。これはひいては国力を落とすことにもなりかねません。
高額所得者へのリスペクトは必要だと思います。そうしないと、高額所得者や富裕層はひそかにささやかな節税などして、最後は日本から出ていってしまうかもしれません。
もし、所得税の半分以上を支払っている高額所得者がいなくなったら税収は下がりますから、結局そのしわよせは中低所得者層にまで行き渡りますね。誰しも他人ごとではないのです。
Next: 課税の三原則は「中立・公平・簡素」